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映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『2018年映画』「ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書」③「抗う者の拠り所」 4/12

『2018年映画』「ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書」➂抗(あらが)う者の拠り所 4/12


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① 映画はなぜ作られたか?
「ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書」(2017年)、「ザ・シークレットマン」(2017年)、「大統領の陰謀」(1976年)。3本の映画の舞台は1972年のニクソン政権下の「ウォーターゲット事件」。ニクソン政権の違法行為と、告発する者への弾圧を描く。映画が作られた昨2017年は、トランプ政権がロシア疑惑を打ち消すためにFBI長官を左遷・次々と行政・司法の人事をいじくり回していた。(今でもそうだ)米の民主主義の危機が叫ばれた。2017年の日本は「公文書改ざん」「日報隠蔽」で揺れた。映画を見ているアメリカ&日本の観客は、72年と現在を重ねて様々な思いを抱いた。映画を作ったスピルバーグや、ピター・ランデズマンは、トランプ政権の近代民主主義への破壊行為への危機感から映画を作った。
(ウオーターゲイト ビル)
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② 国家権力とジャーナリストとの闘い
 「ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書」の主人公ワシントン・ポストの社主キャサリン・グラハムは、夫の死後家庭の主婦であったが、やむを得ず新聞社の経営者となった。ジャーナリストとしての訓練も受けていないが、男性優位の社会の中での女性経営者として地位の確立。株式の公開。ポスト紙をどういう新聞にするかなどの課題に邁進。彼女は「言論の自由」をポスト紙のメイン課題とするなど前向きに行動。(メリル・ストリープの役への読み込みの深さ。)上品なお嬢様育ちからの気品。仕事のパートナーであるベン・ブラッドリーとの親密さと敬意ある距離感はメリルらしい演技力。ワシントン・ポストの編集主幹ベンは、国家に対する反逆罪に問われる危険性を理解した上で、真実の追求を社のメンバーに課していた。
 実際にニクソン政権との闘いが繰り広げられる中で、主人公たちへの想像を超える弾圧――盗聴・暴力・買収・――彼ら・彼女は新聞社を失い、刑務所行きを覚悟した。それは3つの映画の主人公たち全員が負った運命だった。

(キャサリンとブラドリー編集長)メリル・ストリープとトム・ハンクス
メリルとハンクス⓶


(実際のキャサリンとブラドリー)
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③ 共通するもの
 映画の主人公たちに共通するものとして、いずれの者にも拠り所があった。それは「大統領の陰謀」で深夜人目を避けて自宅に訪れた2人の記者を、ブラドリー編集長は「“報道の自由”のために戦う」と励ます。つまり、彼らの信念の奥にあるものは『合衆国憲法修正第1条』の
「連邦議会は、国教の樹立、あるいは宗教上の自由な活動を禁じる法律、言論、又は報道の自由を制限する法律、ならびに人々が平穏に集会する権利、および苦痛の救済のために政府に請願する権利を制限する法律を制定してはならない。」

又、ニクソン政権がタイムズ&ポストを国家の安全保障の侵害として連邦裁判所に訴えたことへの裁判所の判決。
『ニューヨーク・タイムズ対米合衆国=ヒューゴ・ブラック判事の判決』
「合衆国建国の父は、憲法修正第1条をもって民主主義に必要不可欠である報道の自由を守った。報道機関は国民に仕えるものであり、政権や政治家に仕えるものではない。報道機関に対する政府の検閲は撤廃されており、それゆえ報道機関が政府を批判する権利は永久に存続するものである。報道の自由が守られているため、政府の機密事項を保有し国民に公開することは可能である。制限を受けない自由な報道のみが、政府の偽りを効果的に暴くことができる。そして、報道の自由の義務を負う者は、政府の国民に対する欺きによって多くの若者が遠い外国へと派遣され、病気や戦闘で命を落とすという悲劇を避けるために責務を全うすべきである。私の考えでは、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、そしてその他の新聞社が行った勇気ある報道は決して有罪判決に値するものではなく、むしろ建国の父が明確に掲げた目的に報いる行為として称賛されるべきである。この国をベトナム戦争参戦へと導いた政府の行為を明るみにすることで、前述の新聞社は建国者たちがこの国に望んだことを立派に実行したのである。」
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アメリカ映画で国家の不当性と闘う時、必ずこの「合衆国憲法修正第1条」や「建国の父たちの理想とした理念」が出て来る。時の統治権力に対する抵抗権として、修正1条の「言論・報道の自由を守る」権利や、「建国の父たちの理想」(ワシントンやリンカーンたち建国の父たちが、合衆国を建国した時に抱いた理想――歴代の国民が思い寄せた理想が重なる)を*1心の盾に闘うのである。映画の主人公たちの会話の中に出て来る。

*1米国の政治史を本格的に勉強したわけではないのでここでやめるが、時の統治権力と建国の父たちが抱いた國家像は別の物だという認識がある。統治権力の国家とは「愛国」の看板の裏に「利権」をかくしていた。建国の父たちの国家像から統治権力の愛国像を弾劾するのである。

*昨年に作られた2つの映画が、トランプ政権の民主主義に対する破壊への警鐘として作られた。米国社会における構造の変化、また、ヨーロッパ各国の構造的変化へと視野を広げてゆけるが、日本ではどうか?政権内に「日本会議」が蔓延する現実。安倍政権で日本の統治権力は極右政権になった。しかし、その極右政権も綻びが出てきた。官僚のなかの官僚と言われた財務省で公文書改ざん問題が判明した。嘘をつく政権、いつまでもつのか?

*直近の課題
文科省の加計学園の獣医学部新設を巡る、総理の縁故利益誘導。
財務省の国有地売却を巡る8億円値引き、公文書の改ざん。口裏合わせ。
防衛省の日報隠蔽工作・シビリアンコントロール不能問題
安倍は9月の総裁選で3選を果たし、憲法9条改憲を果たそうとしている。戦後社会は名実とも変貌を遂げることを狙っている。

*米国の窮地のバネが「合衆国憲法修正第1条」とすれば、日本は何か?
「平和憲法9条」といいたい。しかし、戦後史をドイツと比べて、日本は戦中の軍国主義への反省が足りなかったと言われている。ドイツがナチス的なものの徹底した排除から戦後を出発させた。日本は米ソの対立という冷戦の始まりから、戦後の民主化も挫折してゆく。








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  1. 2018/04/11(水) 19:18:49|
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