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私の見た映画・美術・

映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『美術/音楽/舞台/読書』 「菅原小春&伊勢崎賢治/インタビュー達人達」➂ 4/1

『美術/音楽/舞台/読書』「菅原小春&伊勢崎賢治/インタビュー達人たち」 ③ 4/1

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<後半は舞台をスィッチ> 「吉祥寺のジャズバーで=伊勢崎賢治のヒストリー」

7年前から伊勢崎はプロのジャズマンとしてステージに立っている。舞台の奥に飾った写真は、紛争地で伊勢崎自ら撮影したもの。トランペットの演奏をする伊勢崎賢治。

菅原} 小春が伊勢崎賢治にざっくりでいいから、あなたのヒストリーをお聞かせください。何のきっかけでこの仕事に辿りついたか、使命感とか、、
伊勢崎} あまり使命感は無いですね。基本的に僕しか出来ないことを頼まれた時にやらざるをえない。
菅原} 最初のきっかけは?
伊勢崎}僕は建築家だった。建築の勉強しにインドへ行った。スラムで何とか居住環境を良くしたいと思った。スラムには怖い人もいるし、ヤクザもいるし、危ない人もいる。だけど劣悪な居住環境に住んでいる意味では皆同じ。その中に入ってしまえば怖い親分も打ち解ける。スラムでやっているうちに、気がついたら自分が先導していた。運動が大きくなった結果、インド政府から国外退去命令を受けてしまう。その時28歳。その後、英国に本部を持つ国際NGOに就職して、発展途上国の開発援助を行うことになる。

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派遣されたのがアフリカ西部のシエラレオネ。知らないでしょう?日本人の95%が知らない。この国の3/1の小中学校を作った。開発援助で、子どもたちのための教育・医療・診療所を作った。
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小さいけれど歴史のある国で、世界で一番の良質のダイヤモンドが取れる国。ダイヤが取れるは良いことかも知れないが、すぐ密出国されてしまう。原石は普通の石ころ。飲んで飛行機に乗ってヨーロッパに行って空港の便所に入れば密輸できちゃんです。密輸が裏金になり汚職になり政府が腐敗して――革命が起こって反政府ゲリラが蜂起して内戦が9年も続いた。内戦激化で一時シエラレオネを離れたが、2001年国連PKOの幹部として再び派遣された。
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この国ことはよく知っている。言葉を知っているから武装解除を説得してくれと国連に頼まれた。9年も内戦をやっていると皆疲れてくる。疲れた連中に、将来のことを考えなさい、銃を置きなさいと説得する。「疲れていないとダメなんです。」その役目をやっていた。
菅原} 私はそれをやっていたかも知れない。小さい時お父さんとお母さんとがケンカをすると真ん中に入って通訳をする。そういうことですよね。
伊勢崎} ああ、いいですね。そういうことです。
菅原} 第三者として話に入って行くと和らいでくる。
伊勢崎}ペースメーカーじゃないですか。構造的に全くその通りですね。だけど、内戦の場合は人が死んでしまう。

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<ナレーション>伊勢崎が最も大規模な武装解除を行ったのは、20年以上内戦が続いたアフガニスタン。2003年国連の調停で暫定政府が成立した直後だった。しかし、民族・利権・宗教の違いから国内には対立する武装勢力が幾つも残っていた。しかも、各勢力とも長年の対立から戦車・大砲など一国並みの戦力を持っていた。これを放棄させるのは容易なことでは無かった。

伊勢崎} 命がけの交渉を粘り強く行っていった。連絡係というのがいて、「オレが話しをつけてやる」と色んなのが出て来る。初めは信じるしかない。「話しはついているんだな。この日この時間に我々がヘリで降りてゆくから、下から撃つなよ。」ヘリは下から撃たれるとボーンとなる。話が通っていないと撃たれちゃう。そういうことを何度かやって辿りつく。朝から麻薬をやっているし、ハシシとかね。それでも行く。信頼醸成しなきゃいけない。僕らは一応銃を持たないで行く。相手は威嚇して来る。その次は銃創をカラにして下さい、と。その間に我々も撃たれて死んじゃう者もでてくる。「何でこんなことをやっているのか」、と思いましたよ。本当はこんなことはやりたくないです。まず、命令出来ない。今、銃を下した方が得だと彼らが考えた時には下してくれる。中に下ろさない人がいると、彼らの間で仲間撃ちが始まってしまう。そうすると、そういう奴が僕らを狙ってくる。武装解除は何時でも出来るわけじゃない。彼らが疲れなきゃ出来ない。疲れ切る内に一杯死んでしまう。

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<ナレーション>伊勢崎が今でも心に深く刻み込まれた写真がある。シエラレオネで武装解除をした時の写真だ。少年兵が自身の銃をハンマーでたたき割っているもの。少年兵は16歳位、何人殺したかわからない。自分の愛用のカラシニコフという自動小銃を壊している。交渉と説得を繰り返し武装解除にもってゆく。泣きますね、その後リハビリテーションセンターに収容する。少年時代に軍隊に入れられ、人を殺すことだけを教えられてきた子どもたち。その数1万人にのぼると言われている。競うように虐殺をやった。

伊勢崎}教育は無力ですね。平和はたぶん教えられない。暴力の方が魅力で勝っちゃう。「世界平和」とかいうと気持ちが悪い。気安く「愛は素晴らしい」なんて言って欲しくない。
菅原} 生きているうちに愛がいつの間にか憎しみに変わってしまったり、軽々しく愛を言えない。

伊勢崎}僕が武装解除をに当たった中に、チャイルド・コマンダー(少年司令官)がいた。14歳位で50人ぐらいのトップをやっている。大人の兵士もいてそれらを仕切っている。そいつと交渉する。兵士たちを率いているから結構貫禄がある。彼らと交渉する。
「9年間も戦ってやり尽したんじゃないの?もう壊すものも無くなったし、、と説得する。<戦うことで将来得られる恩恵と銃を下すことで得られる恩恵>とを頭の中で計算する。銃を下すことのメリットを言う。「銃を下せばこんなことをやってあげるよ」とか。
少年司令官はスキルを持っている。もしかしたらそういう能力って、自分で会社なんか持ったらいいですよね。(笑)

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(少年兵たちの写真)
もうひとつ、忘れない思いでとして、彼らは軍服着ていないでしょう。ひとつのファッションがあるんです。アメリカでいうストリートギャング。だぶだぶの服を着て、でかいラジカセを背負って突入してゆく。その乗りでがんがんラップミュージックをかけて村々を襲撃する。ぼくはラップが好きなんです。(笑)僕の原体験は結構複雑で「音楽が戦意高揚」に使われる。ジャズもロックもラップも「解放」なんだ。解放が好き勝手にやるとギャングになっちゃう。どうしましょう!本当に困っちゃう。
菅原}どうしたらいいかわからない。
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<ナレーション>
こうした体験を重ねた伊勢崎は自らトランペットを持って、ジャズマンとして演奏活動を始めた。演奏の合い間に紛争地での体験を語る。

伊勢崎}チャイルド・ソルジャーっていう子どもの兵士に銃を突き付けられた恐怖は解ります?めちゃくちゃ怖いです。大人の兵士が引きがねを引こうが8歳の少年が引こうが、飛んでくる弾は同じですから。それに対してピースキパーは反撃しなければなりません。子どもを殺せますか?そういうことなんです。

<伊勢崎賢治のオリジナル曲>「CHILD SOLDIER」
きれい事や理屈だけでは解決出来ない現実。言葉に出来ない感情を演奏にぶっけてゆく。

菅原}どういう仕事をしているのですか?
伊勢崎}大学の先生です。信じられないでしょう。「国際関係論」という学問で、「なぜ戦争がおきるのか」そういうことを教えています。教えるものじゃないですが、、
菅原} 教科書は?
伊勢崎} 僕は使いません。一応ありますけれど、役に立たない。僕の授業は全て一緒に考えようという授業。今起こっている問題を考えよう。
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<外大・平和構築・紛争予防専修コース>
(学生たちと共に紛争の原因と解決への糸口を模索している。)
この日はパキスタンの大学(クエイド=イ=アザーム大学)とインターネットでつなぎ、研究報告会を行っていた。伊勢崎ゼミの学生は殆どが紛争地からの留学生。彼らにとって戦争は現実だ。授業中に交わした会話。
「問題を解決するのに軍事力を使うのは最善の方法だとは思いません。」
「政府は特に原理主義者たちを意識したー過激化に対抗するための毒消しの役割をする戦略的メッセージを作り出す必要があるのではないでしょうか。そうすれば、軍隊の在り方も変わってくると思います。テロリストは若者たちを引きこんでいます。それに対抗する何らかの方法が必要です。」

今何が起こっているのか現場の生の声や意見を直接聞き、話し合い、お互いに考えてゆく授業。平和構築の第一歩となることを伊勢崎は願っている。
日本は中継地になる。パキスタンと日本がつながり、インドと日本がつながっている。全部がつながっているみたいな感覚。日本がハブ(中継)になっている。「ハブ機能」と見られることは、日本が最適なのですね。日本が人畜無害と見られている場面においては最適なんです。こういうことを外交でもやってもいいんですよ。
菅原}生徒から面白いことを言われますか?
伊勢崎} あります。そればかりです。

<セッション>=伊勢崎のトランペットで小春が踊る
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伊勢崎} 本当にインプロの天才ですね。どうにもならない情況でも、何が向き合っても自分があるから自分のもので創れる。女神みたいな感じだ。
菅原} どうしたらいいか?常に「?」があることが素敵なことだと思う。一生?を抱えて生きてゆく人だなぁーと心に残ったことです。これからも私が突っ張って行けよというメッセージでしょうか?

「テーマ音楽」椎名林檎、「語り」吉田洋、六角精児


<感想>
伊勢崎賢治といえば「紛争解決請負人」で知られている。国際紛争問題について一家言をもつ学者+国連の行動家として敬意を持たれている。学問の塔に籠る学者ではなく、国連派遣の行動的解決人として有名だ。その伊勢崎氏がジャズ、それもプロの演奏家としてジャズバーで実演しているというのだ。驚きと共になぜあの伊勢崎氏がジャズなのか?世界の紛争場面に立ち入ってきたこと、戦争とジャズと関係があるのではないか?私の疑問だった。はっきりとは言っていないが、世界の戦争現場見たこと、テロが攻撃して来たら、ピースキパー(国連派遣警察官)として反撃しなければならないこと、が一つ。もうひとつ、音楽が「戦意高揚」の役割を持っていること指摘している。私の結論は伊勢崎氏がジャズに引き付けられたことがよくわかるということだ。

*コラボに登場する菅原小春、三浦大知、などのダンスに興味を持った。身体芸術にはもともと関心があったので、菅原・三浦の斬新でしなやかな体の動きに興味を持った。




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  1. 2018/03/30(金) 18:46:16|
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