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私の見た映画・美術・

映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『美術/音楽/舞台/読書』「伊勢崎賢治&菅原小春 インタビュー達人たち」 ② 3/23

『美術/音楽/舞台/読書』「伊勢崎賢治&菅原小春インタビュー達人たち」 ② 3/23
 

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<伊勢崎&菅原>対談の続き
{伊勢崎} ワークショップを始めてやられたのはいつですか。
{菅原}  高一です。
{伊勢崎} 高一で教えていたのですか!悔しいな。 (笑)

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{菅原} アメリカに行くようになって、自分の表現はダンスにあるんだと思った。喋りが巧くない。人は好きですけれど、コミニュケーションがどうしても取れない。海外に行った時「アイム ハッピー ストロベリー」位しか喋れなかった。(だけどダンスだけは自分の中でしっくりいった。)そのエナジだけしかなくて、何も喋れなかった。アメリカで自分には身体(からだ)だけだとという人や色々なカルチャーの人と接して、身体が自分の中の最大の言葉なのか?と考えた時に、*1「表現というものは、誰かに何かを伝えることは目に見えるものじゃなくていい」と教わった。とにかく色々な人に教わった。

*1 単なる言語が出来ないといことから、「表現」の本質論に及んで行く。身体が自分の中の最大の言葉なのか?と問い、「表現というものは目に見えるものじゃなくてもいい」という素晴らしい発見に結びついてゆく。

{伊勢崎}でもその時は楽しかったんでしょう。
{菅原} 楽しかった。がむしゃらに楽しかったです。
{伊勢崎}多分、言葉で教えなかったことが良かったのかも知れませんね。

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{菅原} 海外からインストラクターの人たちが来て、食事などに行くと何も喋れないから、皆が笑っているところで取りあえず笑ってみる。
{伊勢崎} 菅原さんでもそんなことするんですか?
{菅原} しますよ。だって笑うしかないんですもの。(笑)そこで授かったのが、折り紙で鶴を作るのが巧くなりましたね。皆喜ぶんですよ。その鶴が膝にかけるナプキンから始めて、どんどん大きくなる。そうすると「オーマイ、ゴット!」とか喜んでくれる。それがコミュニケーションみたいなものになって
{伊勢崎} そうですね、ことばはいらないですよ。ダンスは最小限のことばですね。


   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

{伊勢崎} 20代の初めにインドに行って、スラム 分かります? 貧民街、凄いんです。一つの町みたい。そこで「ホリウッド映画のダンサー」(インドのムンバイで作られる映画ダンサーが集団で踊るシーンに使かわれる)そのホリウッドダンサーを輩出する場所がスラム。
  (略)

 {伊勢崎}  インドのワークショップはどうでしたか?
菅原} 素晴らしかったです。特別なことをするお祭りみたいなものでした。1回のワークショップに何千人も集まってくれて、すごい人がくるんですよ。
スラム街DSC_1785

{伊勢崎} それは恐怖ですね。
{菅原} ワークショップは1から10段階まであるのですが、インドの人は1,2、、4ぐらいで楽しそうなんですよ。この人たちは「私がどういう気持ちで踊ったか」わかるのか、わーとフィードバックを返してくれる。ジョイ(喜び)で溢れている。本当にいいエナジを貰ったことを覚えている。エイトカントだけに皆一瞬で生きるんですよ。ダンスを通じて多くの人と知り合った。それは彼らのバックグランドにある彼らの文化に触れることでもあった。
イスラム教の人と交際したことがあった。その人はノルウェー系のパキスタン人。結婚式に行ってみて踊ったダンス。彼らの文化で女性の強さが全然違う。最初に会った時に日本人なら「おもてなし」なんかあるでしょう。イスラムでは最初に「雑巾」と「霧吹き」を渡されて掃除を覚えろという。私は嫌われたと思ったが、カルチャーが違うわけだから取りあえずやってみて、でもこれが彼らのウエルカムなんだと思った。「本当にあなたが私たちをファミリーと思っているのなら、あなたは私たちと同じ掃除をすべきよ」という態度だった。初めは解らなかったがだんだんわかってきた。そういう真の強さを持った女性と出会ってみて本当によかったと思う。「肌を隠す美しさ」をいいなぁと感じた。*2私は短パンをはいてキャルソルを着ていたのだけど彼女たちのシーンを見た時、いいなぁーと思った。
*2 イスラムの「女性が肌を隠す風習」をどう捉えるかという問題。菅原の肯定論に対して 伊勢崎は西欧の近代主義の立場から論難してゆく。近代主義の論理の正当性を思いつつこの議論の行末を見ていた。

{伊勢崎} 僕は職業柄、女性の人権とか、文化的なものがちゃんとしていないところでは、女性の人権が無視されるとして、人権を根付かせる運動をやってきた。今あなたが言った「雑巾と霧吹き」のファミリィーね、僕が関わりあってきた社会では、なぜ女性がそんなことをしなければいけないのか?となる。つまり、男がやらないでしょ。だけどあなたは女の強さを見たわけじゃないですか。先の考えでは「体を隠す」ことは「女の自由を奪って」となる。体を隠すことは悪いことではないかも知れない。エレガントかも知れない。男としてそうだ!というと、又違った反発を受けるから、でも、わかる。(笑)
{菅原} 本当に困っている女性もいるでしょうが、美しく生きようと気持ちの持ち方がきれいな事だと思って、もし自分がリスペクトして生きてゆくのであればそういう部分もいただきたい。
{伊勢崎} エレガンスさ・誇りの問題じゃないですか。誇りは時間をかけて作られるものであるからあの辺の世界はアフガニスタン、タリバンって聞いたことがあるでしょう、原理主義の考え方。彼らの考え方はすべて西洋的なものはダメ、菅原さんがやっている表現とかジャズはいけないものだと、音楽に国境が出来ちゃったのですよ。彼らのせいではない。僕らのせいですけれど。
{菅原} 結婚式に何回か行ったことがあって、これは踊っちゃダメかと思ったけど、自分の中にお祝いのダンスなんだというのが あって、踊りだったら大丈夫じゃないかと思った。音楽もそうだと思います。
{伊勢崎} 希望を感じます?
{菅原} *3 感じます。

*3伊勢崎はタリバンのジャズなどを西欧的として一切認めないイスラム原理主義に警鐘を鳴らしている。タリバンではダンスやジャズはアメリカ的なものとして認めない。「芸術に国境を作った」と言っている。それに対して、菅原はダンスで超えられると言い切る。「希望を感じる」と答える。これはどうか?歴史的に原理主義の勃興はあるし、その閉じた鎖国原理主義はなかなかやぶれないが、菅原の強固な主張は?

{菅原} ダンスをやっている友達に聞いた。将来何をしたいのか?友達はうーん、「世界平和かな」と言った。戦争はなぜあり続けると思う?誰かが「愛があるからだ」と言った。「人間が愛を持ち続ける限り、憎しみは生まれてゆく。」「戦争はきっと無くならない」「争いはなくならない」という話になった。もし、私の父母を誰かが殺したら、私はその人を憎む。ロボットだけの世界は平和なのかも知れないが、人間が愛を持ち続ける限り、誰かを思い続ける限り、憎しみは無くならないと思う。だけど誰か行動を起こす人がいて変わることは出来るというのだけは自分の中に持っておこうと思って。
{伊勢崎}そうですね、僕も愛し続けたいですね。戦争が無くならなくても愛する方を選ぶな。
{菅原} だから、愛の表現が一番いい方法だ。ダメって、ダメだと思う。

――――SWITCH INTERVEW—―――
ダンサー菅原小春

<岩の上で踊る小春とヒントを与える辻本>
10月下旬、菅原小春はプロモーションビデオの撮影で長野県富士見高原にいた。
今回初めてアドバイザーに迎えた辻本和彦が一緒だった。ダンスに迷いが生まれた時にヒントを与えてくれたダンサー。
事前に振付をつけるのでは無く、その場で感じたことを即興的に体で表現するインプロビゼーション。(即興)菅原はこのインプロビゼーションを自分のダンスに多く取り入れようとしている。

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岩の上にいます。じゃ、踊りましょうではなく、「どうやったら身を本当に委ねられるか」が課題だ。難しい。「ああ、そういうことかと、自分のテンションで踊っちゃうとすごくダサイものになっちゃう。誰かがやったもののコピーでは嫌だし、今までの断片の切りばりするだけでは意味がない。自然との対話から一体何が生まれてくるのか、菅原は深夜まで踊り続けた。

菅原} 考えることとか、知識とか、作ることを先行してやってきたから、自然に脱力して「インプロ」することが出来なかったんです。最近、この場所に対して、どう踊る。この絵に対して、自分はどうあるべきか、、とかを踊るようになってからは――それが究極の感覚だと思ったのですけれど―――自分が寒い・熱い・人が何を思っているのかを全部無しで空っぽの状態を自分を晒した時に、森が受け入れてくれて、私は呼吸しているだけ、、これが何も考えていない状態、インプロした時に生きているというのはこういうことなんだなと本当に思えたから。*4
伊勢崎} まあ―凄いよ!それ。
    ダンスも芸術は先ゆく者がいるわけで、気になる人がいますよ。マイケルジャクソンとか、僕が見てもカッコいいと思うけど、同時にそれをマネすることがよくある。質の悪いコピーになっちゃう。でもカッコいいものはカッコいい。
菅原} 「カッコいいが何か、わからなくなっちゃいますね」人がカッコいいというものは私はやりたくないですね。
伊勢崎} ひとつのファッションになっちゃう。
菅原} みんながカッコいいという風ならば私は違った生き方をする。違う生き方をして遠くへゆきたい。目標というんですか。
伊勢崎} 目標といえば長生きしなければいけないみたいな、、

*4 この小春のインプロは凄い!
「意識が邪魔して無の境地になれない。考えること、それまでの知識がみな邪魔だ。ここで、<この絵に対して、自分はどうあるべきか>と視点を変えてゆことで、(自然に対して全部空にして自己を晒すことで)菅原小春の一つの到達点を掴んだ。
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( 続く )


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  1. 2018/03/23(金) 14:31:43|
  2. 美術/ 音楽/舞台/読書
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