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『2017年映画』「幼子われらに生まれ」(原、重松清。脚、荒井晴彦。監、三島有紀子。出、浅野忠信

『2017年映画』「幼な子われらに生まれ」 9/7
                         原作、重松清。脚本、荒井晴彦、監督、三島有紀子。
             出演、浅野忠信、田中麗奈、宮藤官九郎、寺島しのぶ、南沙良、鎌田らい樹、

ポスターわれに生まれDSC_0751

*「パッチワークファミリィー」又は「ステップファミリー」という言葉がある。「子連れ再婚家庭」をさすようだ。それに同居してなくても過去の離婚で別れたパートナーの元にいる子との面会交流がある場合も含めるという。日本の結婚の4組に1組が再婚。120万世帯を超えるひとり親の再婚は皆ステップファミリーの予備軍である。この家族の抱える問題点に世間の関心が低く認知も低いという。

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*<幼な子われらに生まれ>
はステップファミリーの問題をテーマにした映画である。主人公は子持ちのバツイチと四年前に再婚した田中信(浅野忠信)40歳。妻の奈苗(田中麗奈)は前夫沢田(宮藤官九郎)の間の子薫(南沙良)10歳、恵理子(新井美羽)5歳を連れての再婚だった。信も別れた妻友佳(寺島しのぶ)との間に娘沙織(鎌田らい樹)がいて、年4回の面会を楽しみにしている。沙織は最愛の娘だ。

②DSC_0732.jp全員ポスター

*、大学準教授としてキャリア志向の寺島しのぶ演じる友佳と、大企業のエリート信とは若い男女のギリギリの確執の果てに一人娘をもうけながらも離婚。研究の邪魔だと友佳が独断で中絶したことが別れの契機になった。信はエリートコースを外れ、奈苗との再婚生活では妻の連れ子に気を使った生活をしている。同僚と飲みに行くわけではなく、誕生日にはケーキを買って帰るホームパパになっていた。友佳はその後再婚したが、今や再婚相手の教授は末期ガン。娘の沙織は義父の事を心から心配出来なくて悩んでいた。

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 *妻奈苗が妊娠したことから物語は始まる。新しい子が生まれることで家庭にどのようなことが起こるか?幼い5歳の恵理子は無邪気に姉になることを喜んでいたが、10歳の長女薫は露骨な反抗的態度を取るようになった。長女の反抗は実父のイメージがあって、田中は「父親ではなく」「赤の他人」なのだろう。又、思春期特有の深層心理で男親の匂いがするだけで身震いがして反撥する心理状態なのかも知れない。又、子どもが出来たら自分は捨てられるという深層心理に根ざした不安から来たものか?家庭内にギスギスした空気が漂うようになってきた。妻奈苗の前夫はDVであり、薫の幼い頃のDVの記憶が田中を受けつけない理由だったかも知れない。
 薫の反抗はますます激しくなり、追い詰められた信イライラしながらも人口中絶を考えていった。が、奈苗は「産むもんだ」と決め込んでいる。
 家族とは血縁の繋がりという頑固な固定観念がある。「パッチワークファミリー」とはその固定観念に縛られていては始まらない。血縁を超えた何かで結ばれなくてはならないか?大いなる実験である。

*大雨の降る嵐の夜、沙織が義父の事で相談に来ていた。沙織の携帯に義父の危篤の知らせがあった。豪雨で電車は止まっていた。信は妻奈苗に連絡して車を持って来させ沙織を病院へ送った。車中で幼い恵理子と沙織は仲良しになり、「恵理ちゃんのパパと私はお友達なの」と沙織は言う。
病院に着いた。沙織が降りると「一緒に行ってあげなさいよ」と奈苗が下を向いたまま言う。信「、、、え?」奈苗「友達なんでしょ、いいから早く。ここで待っているから。」そして、「赤ちゃん、絶対に産むからね」信は振りむいて、小さくうなずいた。足早に追いつくと、沙織が「みんな仲良しなんだよね。ウチもそうだし、パパのところもそうだよね。本当の親子じゃなくても好きになれるよね。」「なれるよ」と信は言った。

*病院の廊下で今かと待っている信たち。しばらくして赤ん坊の元気な泣き声!元気な男の子の誕生、この家族の絆となるか。

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*主演の浅野忠信がいい。マーティン・スコセッシ監督と映画「沈黙」での出会いなどで俳優として一段上を登ったように思う。血のつながらない家族に新たな子が生まれる。物心ついた長女薫の反抗が、家族の繋がりとは何かを問いかける。大事なのは「血縁か、愛か」。
ドラマの組み立てが巧い。さすが荒井晴彦の脚色。

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以下の無機質なシーン――電車の線路のカーブの曲線、駅から家のマンションを繋ぐ斜行エレベーター、遠くの薄明りのマンションが立ち並ぶシーン。作品の内容の表出でもあるが、豪雨のシーンでの転換でマンションの灯りが明るくなる。ポジティブへの希望なのか。




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  1. 2017/09/07(木) 17:39:51|
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