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『2017年映画』「甘き人生」(イタリア映画、監督マルコ・ベロッキオ) 8/1

『2017年映画』「甘き人生」(イタリア映画、監マルコ・ベロッキオ、
                 出演ヴァレリオ・マスタンドレア、ベレニス・ベジョ、
                    エマニュエル・デュヴォス  8/1

甘き人生ポスター

幼い頃の母の思い出は男児にとって永遠の記憶であり、心の原風景として残る。主人公マッシモにとって、幼き日のダンスを狂うように踊った母が突然目の前からいなくなったことは信じられず、心の内で母を求めて大人になった。母と過ごした幼少期の60年代のトリノと心の底には傷を抱えた現在の90年代のローマ。映画はトリノとローマを交互に同時進行させ、また、二つの物語を交錯させながら主人公マッシモの心の旅路を描いた名作である。
数十年にわたる物語は、イタリア現代史が重なっている。

「落下」のシーンはこの映画の重要なキー・ポイント。少年のマッシモが置物の彫像を窓から落下させる、橋の上から花を投げる、連行されそうになった社長の突然の自殺、水泳のダイビング、窓の外の降りしきる雪、、、幼少時代にマッシモが体験した「落下」は、目隠しされて見ていないが、原イメージは最愛の母のビルからの「落下」だったのだ。「落下」は主人公の人生に纏わりつく重要なポイントである。

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「落下」の人生を包括するのが二つの「ダンス」。幼少期の母との浮かれるようなタップダンス!めくるめく眩惑のダンスだったが、又、母の失踪という「落下」であった。終盤の母のイメージを想起する女医エリーザ(ベレニス・ベジョ)のダイビングと、彼女とのダンスが失われた愛の回復であり、主人公が大人として自己確立する帰結でもある。

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劇中の、父親に連れて行ってもらったサッカーの試合、教会における神父との宇宙論争、紛争地サラエボのシーン、新聞の投稿に対するマッシモの「母に対する思い」の綿々たる思いのこもった文章。それでジャナーリストとして世に出ていった。、いずれも忘れ難いシーンだ。最後の幼少期の母との「隠れんぼ」、隠れている母を追い求めて少年が家中を探しまわるシーンには胸迫るものを感じた。

孤独なマッシモ

監督、マルコ・ベロッキオ。原作、マッシモ・グラメッリーニ。
出演、マッシモ(ヴァレリオ・マスタンドレア)エリーザ(ベレニス・ベジョ)
  マッシモの母(バルバラ・ロンキ)エンリコの母(エマニュエル・ドヴォス)




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  1. 2017/08/01(火) 14:45:02|
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