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『2017年映画』「ミツバチのささやき」(スペイン映画1973年、監督ビクトル・エリセ) 4/25

『2017年映画』「ミツバチのささやき」(1973年のスペイン映画、監督ビクトル・エリセ)4/25

                  
うかつにもスペイン映画の名作「ミツバチのささやき」(ビクトル・エリセ監督1973年)が渋谷の「ユーロスペース」でやっていたのを最近知った次第。10時から1回だけの上映。
(今回は「エル・スール」1983年を見逃してしまった。)

<アナ>
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『ミツバチのささやき』
1973年.スペイン映画。日本公開1985年2月。監督ビクトル・エリセ、
主演アナ・トレント、イザベル・テリエリア、フェルナンド・ゴメス

<カスティーリャ地方の平原>
カスティーリャの

スペインのカスティーリャ地方の農村の風景。うす暗い草原と森。ミツバチの研究に没頭している領主の父(フェルナンド)と美しく若い後妻の母テレサ。姉のイサベル(イザベル)と妹のアナ(アナ・トレント)の4人家族の物語。6歳の少女アナの物語が中心。

<何の音が聞こえるか?>
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幼い姉妹の成長物語のような感じの映画だ。特にアナの大きな黒目の瞳は不思議だ。瞳にアナの心情表現をさせ、微妙な心情の変化をさせる。彼女は何を語るのか、その行方に思わず引きこまれてしまう。カスティーリャ地方の田園や草原・森の風景がいい。二人の姉妹の言動や表情が深い意味を持っているように思われ――アナの瞳に思わず引き込まれてしまう。

カスティーリャの平原を1台のトラックが走ってくる。子どもたちが「映画だ!映画だ!」と喜んで取り巻く。「フランケンシュタイン」の上映だ。村中から年寄りや子供たちが椅子持参でやって来る。アナとイサベル姉妹は食い入るように見つめる。アナは映画に魅せられ、特にモンスタ―が少女に優しくするが誤って殺してしまうシーンに魅せられ、アナはイサベルに尋ねる。「なぜ怪物は少女を殺し、怪物も殺されたの?」と。イサベルは「あれは映画だから本当は死んでいない。自分はあの怪物に会ったことがある」と嘘をつく。「あれは精霊で目に見えないが、友だちになって目を閉じて<私はアナです>と話しかければ答えてくれる」とからかう。幼いアナはその話を本気で信じてしまう。イサベルは村外れの廃屋の古井戸にアナを連れて行き、精霊はここにいると言う。アナは精霊見たさに度々ここを訪れ、大きな足跡を見つける。怪物の精霊が実在することを確信する。(精霊を本気で信じている少女。誰にもそんなファンタジックな時があったでしょう?その視点から改めてこの世界を見てみましょう、、、)
<アナとイサベル>
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姉イサベルはアナをからかうだけでなく、黒猫の首を締めあげ、咬まれた指から出た鮮血を口紅のように自分の唇にぬる。(少女の性を感じさせる)イサベルは窓から何者かが侵入して襲われて死んだ振りをする。アナは恐くなって人を呼びに行くが誰もいない。アナは部屋に戻るがイサベルはいない。恐怖に慄(おのの)いていると背後からイサベルが怪物の振りをしてアナを驚かす。アナは悲しそうな眼をしてイサベルを見る。イサベルの焚き火を飛び越えて遊ぶ姿は伝説の魔女たちの宴のようだ。イサベルに魔女の悪意を感じアナの心はイサベルから離れていった。

舞台は内戦が人民戦線側の敗北で終わる1940年のスペイン。作られたのは反乱軍側のフランコ将軍の独裁政治が終わる数年前の1973年。検閲が未だ厳しい風潮の中で作られた。

父親フェルナンドは世捨て人のようにミツバチの研究をしている。机の上の二羽の折り鶴のクローズアップは二人の娘を愛していること示し、同じく机上の写真は若きフェルナンドがサマランカ大学の学長を務めた哲学者ウナノームと一緒に撮った写真である。スペインの代表的哲学者ウナノームは人民戦線側であり、フランスに亡命している。父親フェルナンドの知的・政治的位置を表している。

映画では怪我をした一人の脱走兵の青年が廃屋に逃げて来た。スペイン内戦で人民戦線側の兵士だったが捕まって列車から飛び降りて逃走、廃屋に逃げ込んだ。脱走兵を見つけたアナは彼にリンゴを差し出す。青年はリンゴを食べる。アナは嬉しそうに微笑む。傷ついた足に包帯を巻いてあげる。アナは彼に父のコートとパンと蜂蜜を持ってきた。コートにはオルゴール付の手巻き懐中時計が入っていた。お礼に彼はオルゴールを鳴らし、手品を見せてアナを喜ばした。アナにとって脱走兵の青年と何だったか?悪意のないいい人との初めての交流。

<アナ>
アナ

その晩、脱走兵は射殺され、翌朝アナの父の領主は警察に呼び出される。脱走兵が身に着けていたコートか時計に領主の名前が記されていたのだろう。当然、領主は脱走兵とは面識がない。誰がコートと時計を持ち出したか?
翌朝、一家4人の食事の時間、父は黙って懐中時計のオルゴールを鳴らしてみる。アナだけが激しく反応した。父は黙っていた。アナは一人で廃屋へ行ってみた。血痕を見たアナの衝撃!
アナを探しに来た父の姿を見た彼女は逃げ出し行方不明になる。家族と村人たちが必死でアナを探すが見つからない。アナは一人で森をさまよい、ついに精霊=フランケンシュタインと会う。アナは「私はアナ、、、」と挨拶をし、会話をする。震えながら精霊に抱きかかえられるアナ、、、(脱走兵の青年、森で出会った精霊はアナにとってどういう存在なのか?)

翌朝、村はずれの廃屋のところで気絶しているアナが見つかる。衰弱しているようで誰とも話さない。医者は「時間が解決してくれる」と言う。

アナは精霊と話が出来るようになっていた。夜、寝室のドアーを開け、目を閉じてそっと呼びかける。
「私はアナよ、私はアナよ――」



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  1. 2017/04/25(火) 14:11:51|
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