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『美術/音楽/舞台/読書』{クラーナハの大回顧展ー500年後の誘惑」国立西洋美術館 11/12

『美術/音楽/舞台/読書』「クラーナハの大回顧展」―500年後の誘惑
          国立西洋美術館~17年1月15日まで 11/12  

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A)上野の国立西洋美術館(ル・コルビュジェの設計・世界文化遺産)の「クラーナハ=500年後の誘惑」を見にいった。16世紀ドイツ・ルネサンスを代表する画家である。15.16世紀のイタリア・ルネサンス絵画に対して、オランダ・ベルギー・ドイツの絵画を北方ルネサンス絵画というが、イタリアとは別の「美の祭典」があった模様である。4月にヒエロニムス・ボス没後500年「ボス展」を巡る旅をしたが、ネーデルランド以外にドイツにも魅力を放っている画家がいることを承知した。デューラーと同世代のクラーナハである。今回の展覧会ではクラーナハの独特な官能美の作品が多く集められていたのには満足した。ウィーン美術史美術館の特別協力があったと聞く。

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B)ルカス・クラーナハ(父、1472-1553)は16世紀ドイツ・ルネサンスを代表する画家である。同名の息子も画家であるため(父)と表記される。南ドイツのクロナッハに1472年に画家の家に生まれた。同世代のデューラーと競いながら、大工房を構え絵画の注文や版画などを弟子たちと制作した。
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(聖カタリナの殉教 1508年)
神聖ローマ帝国のザクセン選帝候に、半世紀・3代に渡って宮廷画家として務め、領主や貴族の注文に応じて又、キリスト教の物語や古代神話を主題にした作品を描いた。デューラーに肖像画の啓発を受け、ザクセン侯や貴族、親友のマルティン・ルターの肖像画を数多く描いた。

ルターの肖像画
(マルティン・ルターの肖像 1525年)
同郷のマルティン・ルターの友人として宗教改革にも支援した。ルターの新約聖書解釈の教本の挿絵やプロテスタントの宣伝の役割を果たす絵画等を描いた。又、ルターが宗教者として初めて結婚した仲人を務めたのがクラーナハと言われている。
工房は次男が継ぎ、参事会員、市長をやり81歳の長命を全うした。

正義の寓意
(正義の寓意ーユスティティア 1537年)
C)クラーナハの絵が面白くなってくるのが1530年代以降の女性の裸体画である。宗教改革によって教会からの絵画の注文が無くなり、上流階級の<クンストカンマー(驚異の部屋)>=貴族のコレクションルーム用として制作された作品。貴族や上流ブルジョワたちのコレクションとして愛好されたのか?

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*ユディト
一国を美貌と勇気で救った旧約の英雄ユディト。多くの画家たちが描いてきた。クラーナハの世界では豪華な衣装やネックレスで飾り、生々しい肌が艶めかしい。無表情のユディト、断首された生々しい男の首もアクセサリーでしかない。

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(ヴィーナス  1532年)
*薄衣のヴィ―ナス
薄衣だけをまとった裸体、流し目の強烈な官能性、エロティシズムで誘惑を誘っている。クラーナハの身体のプロポーションはS字形の曲線美、蛇状曲線として<美>というより<欲望>を喚起するものとして描かれる。薄衣とかの小道具が効いている。裸体は乳房は小さく、腰回りが大きい。イタリア・ルネサンスとはかなり違う。

「ヴィーナス」「泉のニンフ」「ルクレティア」「ロトとその娘たち」「アダムとイヴ」、誘惑の美の饗宴である。



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  1. 2016/11/12(土) 18:13:05|
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