私の見た映画・美術・

映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『2016年映画』「永い言い訳」(監督・原作、西川美和。出演、本木雅弘)11/4

『2016年映画』「永い言い訳」(監督、原作・西川美和、挿入歌、手嶌葵   11/4(金)
                   主演、本木雅弘、竹原ピストル、深津絵里、池松壮亮

DSC_9813.jpg

人は心の底から真正直に自己の人生に向き合って生きているだろうか?長年連れ添った妻が突然交通事故で亡くなった。世間に対して悲劇の夫を演じた衣笠幸夫(本木雅弘)は実際には悲しさを感じず涙ひとつ出なかった。事故当時彼は自宅で若い編集者(黒木華)と不倫していた。妻夏子(深津絵里)との関係も冷え切っていた。現代人の荒廃した倫理観の表れだろうか?

売れない小説家であった彼を美容師の夏子が支えて、言わば「糟糠の妻」の存在のおかげで、ヒット作を出しテレビにも出演する人気作家になった。本名が有名な野球選手と同姓(衣笠)であることから、変なコンプレックスを持ち、(有名な選手と比較してオレは、、、)とか、ネットで「自己のペンネーム+かわいそう」を検索し、自分が世間からどう見られているかを常に気にしている自意識過剰の人間。だが、何か気にかかるものを感じていた。

*本木雅弘が仮面人間をややコミカルに演じている。「おくりびと」以来久々の主役、さすがにうまい。「永い言い訳」とは誰に対しての言い訳なのか?妻は死んでいる。「ながい」は「長い」ではなく「永遠」の意味か。永遠に言い訳しなくてはならない。死んだ妻に対して何を言い訳するのか?妻の事故死の時不倫していた。自分に対しての言い訳だろう。無意識に主人公を突き動かすマグマになってゆく。

バス会社の事故説明会で、妻と共に亡くなった妻の親友の夫・トラック運転手大宮(竹原ピストル)と2人の子(兄妹)と知り合い、ふとしたことで二人の子どもの世話をすることになる。

大宮はバス会社に物を投げつけ「オレの嫁さん、返してくれよ!」と迫る。大宮は今でも妻を愛していて妻のメール消すことができないのに、衣笠は夏子の遺品・携帯の未送信の「もう愛していない、ひとかけらも」辛辣なメールにショックを受け、大宮の妻への愛が信じられない。(作者は対照的な2人の夫婦・家庭を提起している)。ともかく大宮が長距離トラック運転手なので、2人の子どもの世話を衣笠は買ってでる。その生活は聡明な兄と可愛い妹との触れあい。一緒に料理を作って食べたり、妹を自転車の後ろに乗せて長い坂道を一生懸命に登ったり、中学受験の兄に勉強を教えるといった生活は、主人公に欠けていた大切なものを教えた。

二人の子どもとの生活は主人公を変えっていった。愛する者を失ってから、徐々にそれが掛け替えのないものだったとわかってゆく。どんなに悔やんでも取り返しのつかないことなのだ、、、

*主人公に、男の軽薄さ・狡さ・見栄坊・自意識過剰さなどをことごとく暴き出している。後半の主人公の人間性の回復は感動的だ。手嶌葵の歌も、ヘンデルの曲もよかった。

*子役の2人よかった!池松壮亮きりっとした若者ぶり、深津絵里の安定感、竹原ピストルのボクサーみたいな風貌、印象に残った。




スポンサーサイト
  1. 2016/11/03(木) 22:38:11|
  2. 『2016年映画』
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<『美術/音楽/舞台/読書』{クラーナハの大回顧展ー500年後の誘惑」国立西洋美術館 11/12 | ホーム | 『2016年映画』「淵に立つ」(監督深田晃司、出演浅野忠信、筒井真理子、古舘寛治) 10/27>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://sinema652.blog.fc2.com/tb.php/410-33672180
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)