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[庄司紗矢香・無伴奏リサイタル」6/7 紀尾井ホール 6/10

『美術/音楽/舞台/読書』「庄司紗矢香・無伴奏リサイタル」 6/7 紀尾井ホール  6/10

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庄司紗矢香の躍進ぶりに目を見張る。と同時に当然だという思いもある。彼女の進化は早くも「無伴奏」のレベルに到達した。あのバッハの「シャコンヌ」である。東京での演奏会を聴くだけ(チケットが入手困難になった)のファンとして、彼女の内面で何が起こり、どう進化しているか知る由もない。ただ、昨年のサントリーホールでの演奏会で、アンコールに弾いたシュニトケが凄かった!曲に向かう彼女の姿勢が尋常ではなかった。そして今回の「無伴奏」である。ここ数年彼女の中で何が起こっているのか?又、無伴奏に達したヴァイオリニストは全曲演奏の夢を持っという。

2016年6/7 紀尾井ホール、庄司紗矢香「無伴奏ヴァイオリン・リサイタル」

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1、 J.Sバッハ「幻想曲とフーガ」ト短調BWV542(J-F.ヌーブルジェ編)

2 B・バルトーク :「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」Sz.117

3 細川俊夫 :「ヴァイオリン独奏のための<エクスタシス>(脱自)2016
<委嘱作品・世界初演>

4 J.S.バッハ:「無伴奏ヴァイオリン・パルティ―タ」第2番二短調Bwv1004

1 はオルガン曲の名曲。オルガンで聴いているのと全然違う。中世の曲のような感じ。想定外の曲に少し慌てる。規律正しい中世的旋律の展開。

2 バルトークは余り聴いていない。20世紀の現代性が苦手だった。僕は音楽においては保守派だ。音楽を壊してめちゃくちゃになった果てに、音を拾い集めて構成し直している感じだ。庄司紗矢香は全身全力でバルトークと対決している感じだ。難曲に挑んでいる。凄い!
20世紀ハンガリーを代表する作曲家バルトークは、作曲家コーダイ共にハンガリー国内の民謡や農民音楽を収集して回った。民俗音楽に関心が強いバルトークにとってナチスの台頭は許しがたいものであり、1940年母の死と共に米国に亡命した。しかし、收入の道がなく困窮した。まわりの友人たちが作曲の依頼などして彼を支えた。「無伴奏ヴァイオリン」もU・メニューインの委嘱で作曲した。バッハの「無伴奏ソナタ」の伝統を踏まえた、対位法の綾なす緊張感の高い音楽である。バルトークの現代性とバッハ以来の伝統性の交差する名曲と言われている。バッハ以来の「無伴奏」の傑作と言われている。
庄司さんはバルトークをハンガリー人のF・ラドシュ氏の元で学んでいる。そこで西洋音楽との音楽言語の違い、メンタリティの違い、アプローチの仕方の違いなどを理解できたと語っている。

3、細川俊夫は現代音楽の有名な作曲家だが、初めて聴く。ユニークなことを述べられていた。「音楽の初源的なかたちはシャーマニズム。シャーマンが祈りのために、此岸から彼岸に向けて歌い、日常では見えない世界と交信する。」「彼女は<巫女>である。彼女はヴァイオリンという楽器を自らの内なる声(うた)の延長とし、内と外に流れる壮大な宇宙のエネルギーと一体化しょうとし、うたう。」
*作曲家自身の名解説である。庄司紗矢香を「巫女」と捉える鮮やかなイメージに感嘆する。
尚、エクスタシス(脱自)とは、自分の枠を、日常秩序の枠を、エゴから抜け出すことであり、一方、底なし沼のような存在の深み(カオス)への衝撃的な欲望でもある。ヴァイオリンの音は虚空へ向かって描かれ投げかけられる東洋のカリグラフィー(書)の線のような形態を持つ」
*細川さんの文章が素晴らしい!庄司紗矢香の演奏も<弱音>が凄い。微かに鳴っている、東洋のカリグラフィー(書)の流麗な線のような弱音!弦をどう弾くのだろうか?楽器に不案内の小生、囁くような素敵な弱音をどのように弾くのか考え込んでしまう。

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4 この日の庄司紗矢香は溌剌としてエネルギーがみなぎっていた。舞台に登場してくる時も踊るように出てきた。みなさん!1から3までの其々の音楽の庄司紗矢香の演奏を聴いて、彼女が何を狙っているか、お解りでしょうか?
バッハ以降のロマン派音楽の「ロマンチックな音楽」、演奏者の若さゆえの「誇張」「情念」といったものを「削ぎ落とす」音楽を生み出そうとしたのです。バッハみたいな高い次元に挑戦しょうとしたのです。1~3までの前半の中世的なシンプルな旋律、「パルティ-タの前半の4曲の簡潔な旋律、それゆえに、後半の「シャコンヌ」の重層感あふれる演奏が際立っていた。あの迫力は何だろうか!今でも私に中に鮮やかに感動が残っています。「紗矢香の無伴奏」が始まったのだ。画期的な一夜だったのです。
それと、旋律楽器であるヴァイオリンに和声感のある音楽を目指したのが「無伴奏」だといわれていますが、瑞々しい音楽になったではありませんか!


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  1. 2016/06/10(金) 12:34:05|
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