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『2015年映画』「さようなら」(アンドロイドの映画化) 12/10

『2015年映画』「さようなら」(アンドロイドの映画化) (ブライアリ―・ロング、ジェミノイドF 12/10
                   監督:深田晃司、原作:平田オリザ(アンドロイドアドバイザー石黒浩)

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3・11後の世界、同時多発の原発事故によって全土が放射能に汚染された、近未来の日本という設定。政府は国を棄て、全国民が海外への避難を余儀なくされた。国民は出国の順番を待っている。

海の向こうで原子力発電所が炎に包まれて燃えている。人気(ひとけ)が完全に途絶えた街。日本が終末期を迎えている。

ターニャとレオナ②

政府が決める出国の順番も弱者は見捨てられている。病人や独身や前科者、難民や移民も順位が低い。この映画の主人公・南アフリカからの難民で家族が無く、病に伏せるターニャ(ブライアリ―・ロング)は諦めている。病弱の彼女を幼い頃よりサポートしているアンドロイドのレオナが世話をやく。

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二人の対話がいい。実際のロボットと日常の会話を行うのだ。初め俳優が演じていると思った。実は深田監督が所属する、平田オリザ主宰の劇団青年団の演劇でアンドロイドは大活躍(大阪大の石黒浩教授指導)、本物のアンドロイドは世界で注目されていたのだ。
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街々から人々が消えていき、汚染された世界が終末を迎えつつある状況で、主人公のターニャとアンドロイドのレオナだけの世界になっていく。死を知らないアンドロイドと誰もが最後は死んでいく人間。終末の世界でのターニャの孤独。難民の子ターニャ、家族もなく故郷もない。アンドロイドのレオナに見守られながら、死んで朽ちていくターニャ。
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終末期の世界というとロシアの名監督タルコフスキーを思い浮かぶが、自然の風景が極めて日本的なので、ぼくが思い浮かべたのが「九相図」。
(江戸時代の仏教絵画。美女が死んで屋外に打ち捨てられ、死体が朽ちていく様子を九段階に分けて描かれた。)
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アンドロイドはロボットであるが、僅かな表情の変化と顔の角度で、生きている人間であるかのように錯覚させる。映画の場面でいくつかのシーンがあった。

アンドロイドが若山牧水やカール・ブッセ、谷川俊太郎、ランボオの詩を読み続けるなかで、ターニャは裸で毛布にまとって、詩を聴きながら眠るように死んでいくシーンは感動的だ。
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監督・「深田晃司」(1980年~東京都出身。映画美学校卒業)
2005年平田オリザ主宰の劇団「青年団」に演出部として入団、「歓待」(2010)「ほとりの朔子」(2013)













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  1. 2015/12/10(木) 18:33:57|
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