FC2ブログ

私の見た映画・美術・

映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『2014年映画』「誰よりも狙われた男」(原作ジョン・ル・カレ、監督アントン・コービン主演フィリップ・シーモア・ホフマン)10/20

『2014年映画』「誰よりも狙われた男」(原作ジョン・ル・カレ、監督アントン・コービン 10/20
                      主演フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・
                      マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト、
                    グレゴリドブロギン、ニーナ・ホス、ダニエル・ブリュール

 題名②

スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの「誰よりも狙われた男」をアントン・コービン監督が映画化、その主役を、本年2月に急逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンが演じた。遺作となった。

ホフマンは昨年の夏にブログでも触れた「25年目の弦楽四重奏」に出演した名優である。第2ヴァイオリンで世代交代の時、第1ヴァイオリンをやりたいと野望の心情をむき出しにする役柄だった。腹の出た平凡そうな中年の男。役によって脇役でも主役を食うといわれる名優振りを発揮する。ホフマン最期の映画になってしまった。ホフマンに逢うためにだけにこの映画を見た、とも言える。

米ソの冷戦が終わって、3・11で世界の政治構造は欧米対イスラムに変わった。
ドイツのハンブルクは9・11テロの時、実行犯たちが根城にして計画を練ったところとして知られ、自由都市の港にはアラブ社会からの難民や亡命者が流入し、又、世界の防諜機関が暗躍していると言われている。

DSC_4320.ホフマン ①
ここを根拠地として非合法の対テロ対策チームを率いるバッハマン(ホフマン)は叩き上げのボスだ。以前の手痛い失敗のせいか(CIAによるとされる)精悍さの風貌に孤独の影を漂わせる。煙草とスコッチを手放さず、
昔からの助手のイルナ(ニーナ・ホス)を使いながら、巨体をせかせかしながらスマホを常にいじり回して連絡・指示・情報と忙しい。

DSC_4323.jpg
密入国した青年イッサ(グリゴリー・ドブリギン)をイスラム過激派として追う。

DSC_4322.jpg
イッサは人権団体の女性弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を通して、

DSC_4321.jpg
英国人銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)と接触。ブルーの経営する銀行の秘密口座が狙いだという。さてその秘密口座はどういう存在か?イスラム教徒のイッサは何者か? 何をしょうとしているのか?

主人公バッハマンは彼を泳がしてテロ援助資金のもっと大物を釣ろうと目指すが、ドイツの合法防諜機関や

DSC_4332.jpg
米のCIAがテロ容疑で逮捕に動こうとする。防諜組織の熾烈なせめぎ合い、獲物の争奪戦、灰色に淀んだ憂鬱な古い港湾都市ハンブルクの街で繰り広げられる。

DSC_4337_20141020143916150.jpg
曇天の運河、貧民街の薄汚れた街路、誰もいない工場地帯、毒々しいネオンの繁華街、はっと驚くような緑の公園や紅葉。
DSC_4336.jpg

熾烈な防諜が繰り広げる舞台として役者が揃っている。
彼を支援する美しい弁護士アナベルの純粋さ、容疑者イッサはチェチェンのイスラム教徒らしいこと、ロシアの防諜から迫害されてきたことが分かってくる。バッハマンは彼らを援助することで大きな獲物を得ようとするが、、、

ジョン・ル・カレの原作はスパイの熾烈な闘いよりスパイの苦悩や人間性を描いてきた。ここでもバッハマンの絶えず煙草とアルコールを手放さない日常、日常漂う非情な孤独感、山場にかかって興奮を冷ますためにピアノでソナタを弾くシーン。最後に見せた巨大組織に振り回される無念といった激情を、
DSC_4334.jpg

名優フィリップ・シーモア・ホフマンが見事に演じる。映画ファンは2月に急逝したホフマンを忍んで思いを馳せるだろう。

* チェチェン問題は一般的にはロシアにおける過激派のテロと片付けられるが、もっと根深くチェチェン独立の長い歴史がある。大国ロシアに挟まれた小国の、長年にわたっての独立への闘いの歴史である。



スポンサーサイト
  1. 2014/10/20(月) 14:50:36|
  2. 2014年『映画』
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<『美術/音楽/舞台/読書』「アゴタ・クリストフの3部作についてー「悪童日記」他)10/25 | ホーム | 『美術/音楽/舞台』 「生誕100年展ー1期」(白山雅成作品展示室) 10/14>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://sinema652.blog.fc2.com/tb.php/259-cc3351cc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)