FC2ブログ

私の見た映画・美術・

映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『2019年映画』「ナポリの隣人」(伊映画、ジャンニ・アメリオ監督) 2/24

大きい文字2019年映画』「ナポリの隣人」(イタリア映画、ジャンニ・アメリオ監督。)2/24


DSC_2778.jpg

 アメリオ監督の映画は、カミュの「最初の人間」だった。植民地アルジェリアとフランスとの和解という難題に煩悶する知識人を描いた作品として記憶している。現代の人間の問題を大胆に切り込んでゆく監督として有名だ。

 移民が大量に流入する、イタリア南部の港町ナポリ。本作の主人公ロレンツォを演じるカルペンティエルはシェイクスピアの演劇に出くるような存在感がある。昔家族と暮らした大きなアパートに今や独りで住んでいる元弁護士の老人だ。気難しそうで頑固な老人。数年前に妻が亡くなり、裁判所の現地語通訳者として自立している、シングルマザーの娘エレナは、父が愛人を持ったため、母が亡くなったと思って恨んでいた。経営するカフェの資金のためにいつも父に金をせびっていた息子。血はつながっていても、家
族はバラバラである。老齢の身としては平穏な家庭・安らぎを求めているが、得られぬ不満、底知れぬ不安を感じている。

  孤独な老元弁護士のアパートの隣に、幼い子どもたちを連れた若い夫婦が引っ越してきた。それから、疑似家族ともいうべき交流が始まった。実の家族では味あえなかった幸福と時間を過ごすことになる。幼児や少年が切なく愛おしいものとなっていった。連れて歩くだけで至上の幸福感が漂うのだった。

それが、ふとした事で瓦解する。イタリアの名匠フェデリコ・フェリーニ監督の「甘い生活」での富裕の大学教授の精神の瓦解が家族を崩壊させたかのように、子連れの夫婦も瓦解するのだ。現代人の底知れぬ内面の闇を表しているのか、、、

 映画のラストで公園のベンチに老父は娘のエレナと座っている。やがて娘は父親を手で支えるのであった。

(映像をブログに取り込むことができなかった。)

 

 
スポンサーサイト
  1. 2019/02/24(日) 18:31:08|
  2. 『2019年映画』
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

「未来を乗り換えた男」 (東ベルリンから来た女の監督K・ベッツォルト) 2/2

大きい文字『2019年映画』「「未来を乗り換えた男」(「東ベルリンから来た女」の監督K・ベッツォルト)2/2

DSC_2758.jpg


ファシズムからの迫害から逃げ惑うユダヤ人と安住の地を求めてさまよう難民が行き交う
ヨーロッパ。それら交錯するパリの風景。ファシズム荒れ狂うドイツからやっと逃げてきた
ドイツの青年ゲオルグ(フラン・ロゴフスキー)、パリの街角のカフェにひと時のくつろぎを得た。

映画のドラマは1940年代のパリ、今にもナチスが占拠するかのような危険いっぱいのパリ。
サイレンを鳴らして走り回る警察車両や、重装備の機動隊が街頭を封鎖する。それに抵抗
するのだろうかレジスタンスとの銃撃戦か行われているのだろうか?

ドイツの青年ゲオルグは、友人から某ホテルに或る手紙を届けて、マルセイユまで飛んでく
れないかという依頼を受ける。彼は指定されたホテルの部屋に行くと、男が血に染まって倒れて
いた。ヴァィデルという作家で自殺だった。ゲオルグはヴァィデルの持ち物を見ると、パスポート・
現金・メキシコ領事館の滞在許可証・何通かの手紙を持っていた。

 マルセイユで死亡した同志の家に訪ねると、妻は聴覚障害者で10歳くらいの息子と手話で話していた。

DSC_2765.jpg

ゲオルグは息子とサッカーをした。また、ラジオを直してやって親しくなった。息子はゲオルグを父のように慕った。だが、
最後に訪ねた時は、その部屋には親子は居らず、移民(難民)と思しき人々で部屋は一杯だった。

 ゲオルグはメキシコ領事館に行った。領事館はアメリカを目指しメキシコの通過許可証を求める人々で一杯だった。
領事館では作家ヴァィデルと思い、ビザ・乗船券・郵便為替を渡し、そしてドイツの掃討作戦が始まる前に出国する
ようにと忠告した。ホテルに帰ったゲオルグは作家ヴァィデルとなり変わってヨーロッパを脱出しょうとした。謎の

DSC_2763_20190202153424c79.jpg

女マリー(パウラ・ベーア)がゲオルグの周りに現れる。実は作家ヴァィデルの妻で別れた夫を探していた。ゲオル
グがヴァィデルのことを知っているかと近づいてきたのであった。

DSC_2760.jpg

 映画はパリやマルセイユの街を、そのまま架空の現代の街に置き換えた。そこを行き来する市民に投影したものは、
「祖国を追われた難民」としての40年代のユダヤ人と、21世紀の行き場のない「難民」であった。その未来がどの
ものになるか誰にも予測はつかぬが、「何者かに追われる民」として表現したのは敬意に値する。


 
  1. 2019/02/02(土) 15:31:25|
  2. 『2019年映画』
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0