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私の見た映画・美術・

映画・美術・イタリア旅行の紀行文の紹介です。

『美術/音楽/舞台/読書』 「菅原小春&伊勢崎賢治/インタビュー達人達」➂ 4/1

『美術/音楽/舞台/読書』「菅原小春&伊勢崎賢治/インタビュー達人たち」 ③ 4/1

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<後半は舞台をスィッチ> 「吉祥寺のジャズバーで=伊勢崎賢治のヒストリー」

7年前から伊勢崎はプロのジャズマンとしてステージに立っている。舞台の奥に飾った写真は、紛争地で伊勢崎自ら撮影したもの。トランペットの演奏をする伊勢崎賢治。

菅原} 小春が伊勢崎賢治にざっくりでいいから、あなたのヒストリーをお聞かせください。何のきっかけでこの仕事に辿りついたか、使命感とか、、
伊勢崎} あまり使命感は無いですね。基本的に僕しか出来ないことを頼まれた時にやらざるをえない。
菅原} 最初のきっかけは?
伊勢崎}僕は建築家だった。建築の勉強しにインドへ行った。スラムで何とか居住環境を良くしたいと思った。スラムには怖い人もいるし、ヤクザもいるし、危ない人もいる。だけど劣悪な居住環境に住んでいる意味では皆同じ。その中に入ってしまえば怖い親分も打ち解ける。スラムでやっているうちに、気がついたら自分が先導していた。運動が大きくなった結果、インド政府から国外退去命令を受けてしまう。その時28歳。その後、英国に本部を持つ国際NGOに就職して、発展途上国の開発援助を行うことになる。

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派遣されたのがアフリカ西部のシエラレオネ。知らないでしょう?日本人の95%が知らない。この国の3/1の小中学校を作った。開発援助で、子どもたちのための教育・医療・診療所を作った。
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小さいけれど歴史のある国で、世界で一番の良質のダイヤモンドが取れる国。ダイヤが取れるは良いことかも知れないが、すぐ密出国されてしまう。原石は普通の石ころ。飲んで飛行機に乗ってヨーロッパに行って空港の便所に入れば密輸できちゃんです。密輸が裏金になり汚職になり政府が腐敗して――革命が起こって反政府ゲリラが蜂起して内戦が9年も続いた。内戦激化で一時シエラレオネを離れたが、2001年国連PKOの幹部として再び派遣された。
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この国ことはよく知っている。言葉を知っているから武装解除を説得してくれと国連に頼まれた。9年も内戦をやっていると皆疲れてくる。疲れた連中に、将来のことを考えなさい、銃を置きなさいと説得する。「疲れていないとダメなんです。」その役目をやっていた。
菅原} 私はそれをやっていたかも知れない。小さい時お父さんとお母さんとがケンカをすると真ん中に入って通訳をする。そういうことですよね。
伊勢崎} ああ、いいですね。そういうことです。
菅原} 第三者として話に入って行くと和らいでくる。
伊勢崎}ペースメーカーじゃないですか。構造的に全くその通りですね。だけど、内戦の場合は人が死んでしまう。

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<ナレーション>伊勢崎が最も大規模な武装解除を行ったのは、20年以上内戦が続いたアフガニスタン。2003年国連の調停で暫定政府が成立した直後だった。しかし、民族・利権・宗教の違いから国内には対立する武装勢力が幾つも残っていた。しかも、各勢力とも長年の対立から戦車・大砲など一国並みの戦力を持っていた。これを放棄させるのは容易なことでは無かった。

伊勢崎} 命がけの交渉を粘り強く行っていった。連絡係というのがいて、「オレが話しをつけてやる」と色んなのが出て来る。初めは信じるしかない。「話しはついているんだな。この日この時間に我々がヘリで降りてゆくから、下から撃つなよ。」ヘリは下から撃たれるとボーンとなる。話が通っていないと撃たれちゃう。そういうことを何度かやって辿りつく。朝から麻薬をやっているし、ハシシとかね。それでも行く。信頼醸成しなきゃいけない。僕らは一応銃を持たないで行く。相手は威嚇して来る。その次は銃創をカラにして下さい、と。その間に我々も撃たれて死んじゃう者もでてくる。「何でこんなことをやっているのか」、と思いましたよ。本当はこんなことはやりたくないです。まず、命令出来ない。今、銃を下した方が得だと彼らが考えた時には下してくれる。中に下ろさない人がいると、彼らの間で仲間撃ちが始まってしまう。そうすると、そういう奴が僕らを狙ってくる。武装解除は何時でも出来るわけじゃない。彼らが疲れなきゃ出来ない。疲れ切る内に一杯死んでしまう。

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<ナレーション>伊勢崎が今でも心に深く刻み込まれた写真がある。シエラレオネで武装解除をした時の写真だ。少年兵が自身の銃をハンマーでたたき割っているもの。少年兵は16歳位、何人殺したかわからない。自分の愛用のカラシニコフという自動小銃を壊している。交渉と説得を繰り返し武装解除にもってゆく。泣きますね、その後リハビリテーションセンターに収容する。少年時代に軍隊に入れられ、人を殺すことだけを教えられてきた子どもたち。その数1万人にのぼると言われている。競うように虐殺をやった。

伊勢崎}教育は無力ですね。平和はたぶん教えられない。暴力の方が魅力で勝っちゃう。「世界平和」とかいうと気持ちが悪い。気安く「愛は素晴らしい」なんて言って欲しくない。
菅原} 生きているうちに愛がいつの間にか憎しみに変わってしまったり、軽々しく愛を言えない。

伊勢崎}僕が武装解除をに当たった中に、チャイルド・コマンダー(少年司令官)がいた。14歳位で50人ぐらいのトップをやっている。大人の兵士もいてそれらを仕切っている。そいつと交渉する。兵士たちを率いているから結構貫禄がある。彼らと交渉する。
「9年間も戦ってやり尽したんじゃないの?もう壊すものも無くなったし、、と説得する。<戦うことで将来得られる恩恵と銃を下すことで得られる恩恵>とを頭の中で計算する。銃を下すことのメリットを言う。「銃を下せばこんなことをやってあげるよ」とか。
少年司令官はスキルを持っている。もしかしたらそういう能力って、自分で会社なんか持ったらいいですよね。(笑)

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(少年兵たちの写真)
もうひとつ、忘れない思いでとして、彼らは軍服着ていないでしょう。ひとつのファッションがあるんです。アメリカでいうストリートギャング。だぶだぶの服を着て、でかいラジカセを背負って突入してゆく。その乗りでがんがんラップミュージックをかけて村々を襲撃する。ぼくはラップが好きなんです。(笑)僕の原体験は結構複雑で「音楽が戦意高揚」に使われる。ジャズもロックもラップも「解放」なんだ。解放が好き勝手にやるとギャングになっちゃう。どうしましょう!本当に困っちゃう。
菅原}どうしたらいいかわからない。
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<ナレーション>
こうした体験を重ねた伊勢崎は自らトランペットを持って、ジャズマンとして演奏活動を始めた。演奏の合い間に紛争地での体験を語る。

伊勢崎}チャイルド・ソルジャーっていう子どもの兵士に銃を突き付けられた恐怖は解ります?めちゃくちゃ怖いです。大人の兵士が引きがねを引こうが8歳の少年が引こうが、飛んでくる弾は同じですから。それに対してピースキパーは反撃しなければなりません。子どもを殺せますか?そういうことなんです。

<伊勢崎賢治のオリジナル曲>「CHILD SOLDIER」
きれい事や理屈だけでは解決出来ない現実。言葉に出来ない感情を演奏にぶっけてゆく。

菅原}どういう仕事をしているのですか?
伊勢崎}大学の先生です。信じられないでしょう。「国際関係論」という学問で、「なぜ戦争がおきるのか」そういうことを教えています。教えるものじゃないですが、、
菅原} 教科書は?
伊勢崎} 僕は使いません。一応ありますけれど、役に立たない。僕の授業は全て一緒に考えようという授業。今起こっている問題を考えよう。
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<外大・平和構築・紛争予防専修コース>
(学生たちと共に紛争の原因と解決への糸口を模索している。)
この日はパキスタンの大学(クエイド=イ=アザーム大学)とインターネットでつなぎ、研究報告会を行っていた。伊勢崎ゼミの学生は殆どが紛争地からの留学生。彼らにとって戦争は現実だ。授業中に交わした会話。
「問題を解決するのに軍事力を使うのは最善の方法だとは思いません。」
「政府は特に原理主義者たちを意識したー過激化に対抗するための毒消しの役割をする戦略的メッセージを作り出す必要があるのではないでしょうか。そうすれば、軍隊の在り方も変わってくると思います。テロリストは若者たちを引きこんでいます。それに対抗する何らかの方法が必要です。」

今何が起こっているのか現場の生の声や意見を直接聞き、話し合い、お互いに考えてゆく授業。平和構築の第一歩となることを伊勢崎は願っている。
日本は中継地になる。パキスタンと日本がつながり、インドと日本がつながっている。全部がつながっているみたいな感覚。日本がハブ(中継)になっている。「ハブ機能」と見られることは、日本が最適なのですね。日本が人畜無害と見られている場面においては最適なんです。こういうことを外交でもやってもいいんですよ。
菅原}生徒から面白いことを言われますか?
伊勢崎} あります。そればかりです。

<セッション>=伊勢崎のトランペットで小春が踊る
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伊勢崎} 本当にインプロの天才ですね。どうにもならない情況でも、何が向き合っても自分があるから自分のもので創れる。女神みたいな感じだ。
菅原} どうしたらいいか?常に「?」があることが素敵なことだと思う。一生?を抱えて生きてゆく人だなぁーと心に残ったことです。これからも私が突っ張って行けよというメッセージでしょうか?

「テーマ音楽」椎名林檎、「語り」吉田洋、六角精児


<感想>
伊勢崎賢治といえば「紛争解決請負人」で知られている。国際紛争問題について一家言をもつ学者+国連の行動家として敬意を持たれている。学問の塔に籠る学者ではなく、国連派遣の行動的解決人として有名だ。その伊勢崎氏がジャズ、それもプロの演奏家としてジャズバーで実演しているというのだ。驚きと共になぜあの伊勢崎氏がジャズなのか?世界の紛争場面に立ち入ってきたこと、戦争とジャズと関係があるのではないか?私の疑問だった。はっきりとは言っていないが、世界の戦争現場見たこと、テロが攻撃して来たら、ピースキパー(国連派遣警察官)として反撃しなければならないこと、が一つ。もうひとつ、音楽が「戦意高揚」の役割を持っていること指摘している。私の結論は伊勢崎氏がジャズに引き付けられたことがよくわかるということだ。

*コラボに登場する菅原小春、三浦大知、などのダンスに興味を持った。身体芸術にはもともと関心があったので、菅原・三浦の斬新でしなやかな体の動きに興味を持った。




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  1. 2018/03/30(金) 18:46:16|
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『美術/音楽/舞台/読書』「伊勢崎賢治&菅原小春 インタビュー達人たち」 ② 3/23

『美術/音楽/舞台/読書』「伊勢崎賢治&菅原小春インタビュー達人たち」 ② 3/23
 

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<伊勢崎&菅原>対談の続き
{伊勢崎} ワークショップを始めてやられたのはいつですか。
{菅原}  高一です。
{伊勢崎} 高一で教えていたのですか!悔しいな。 (笑)

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{菅原} アメリカに行くようになって、自分の表現はダンスにあるんだと思った。喋りが巧くない。人は好きですけれど、コミニュケーションがどうしても取れない。海外に行った時「アイム ハッピー ストロベリー」位しか喋れなかった。(だけどダンスだけは自分の中でしっくりいった。)そのエナジだけしかなくて、何も喋れなかった。アメリカで自分には身体(からだ)だけだとという人や色々なカルチャーの人と接して、身体が自分の中の最大の言葉なのか?と考えた時に、*1「表現というものは、誰かに何かを伝えることは目に見えるものじゃなくていい」と教わった。とにかく色々な人に教わった。

*1 単なる言語が出来ないといことから、「表現」の本質論に及んで行く。身体が自分の中の最大の言葉なのか?と問い、「表現というものは目に見えるものじゃなくてもいい」という素晴らしい発見に結びついてゆく。

{伊勢崎}でもその時は楽しかったんでしょう。
{菅原} 楽しかった。がむしゃらに楽しかったです。
{伊勢崎}多分、言葉で教えなかったことが良かったのかも知れませんね。

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{菅原} 海外からインストラクターの人たちが来て、食事などに行くと何も喋れないから、皆が笑っているところで取りあえず笑ってみる。
{伊勢崎} 菅原さんでもそんなことするんですか?
{菅原} しますよ。だって笑うしかないんですもの。(笑)そこで授かったのが、折り紙で鶴を作るのが巧くなりましたね。皆喜ぶんですよ。その鶴が膝にかけるナプキンから始めて、どんどん大きくなる。そうすると「オーマイ、ゴット!」とか喜んでくれる。それがコミュニケーションみたいなものになって
{伊勢崎} そうですね、ことばはいらないですよ。ダンスは最小限のことばですね。


   ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

{伊勢崎} 20代の初めにインドに行って、スラム 分かります? 貧民街、凄いんです。一つの町みたい。そこで「ホリウッド映画のダンサー」(インドのムンバイで作られる映画ダンサーが集団で踊るシーンに使かわれる)そのホリウッドダンサーを輩出する場所がスラム。
  (略)

 {伊勢崎}  インドのワークショップはどうでしたか?
菅原} 素晴らしかったです。特別なことをするお祭りみたいなものでした。1回のワークショップに何千人も集まってくれて、すごい人がくるんですよ。
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{伊勢崎} それは恐怖ですね。
{菅原} ワークショップは1から10段階まであるのですが、インドの人は1,2、、4ぐらいで楽しそうなんですよ。この人たちは「私がどういう気持ちで踊ったか」わかるのか、わーとフィードバックを返してくれる。ジョイ(喜び)で溢れている。本当にいいエナジを貰ったことを覚えている。エイトカントだけに皆一瞬で生きるんですよ。ダンスを通じて多くの人と知り合った。それは彼らのバックグランドにある彼らの文化に触れることでもあった。
イスラム教の人と交際したことがあった。その人はノルウェー系のパキスタン人。結婚式に行ってみて踊ったダンス。彼らの文化で女性の強さが全然違う。最初に会った時に日本人なら「おもてなし」なんかあるでしょう。イスラムでは最初に「雑巾」と「霧吹き」を渡されて掃除を覚えろという。私は嫌われたと思ったが、カルチャーが違うわけだから取りあえずやってみて、でもこれが彼らのウエルカムなんだと思った。「本当にあなたが私たちをファミリーと思っているのなら、あなたは私たちと同じ掃除をすべきよ」という態度だった。初めは解らなかったがだんだんわかってきた。そういう真の強さを持った女性と出会ってみて本当によかったと思う。「肌を隠す美しさ」をいいなぁと感じた。*2私は短パンをはいてキャルソルを着ていたのだけど彼女たちのシーンを見た時、いいなぁーと思った。
*2 イスラムの「女性が肌を隠す風習」をどう捉えるかという問題。菅原の肯定論に対して 伊勢崎は西欧の近代主義の立場から論難してゆく。近代主義の論理の正当性を思いつつこの議論の行末を見ていた。

{伊勢崎} 僕は職業柄、女性の人権とか、文化的なものがちゃんとしていないところでは、女性の人権が無視されるとして、人権を根付かせる運動をやってきた。今あなたが言った「雑巾と霧吹き」のファミリィーね、僕が関わりあってきた社会では、なぜ女性がそんなことをしなければいけないのか?となる。つまり、男がやらないでしょ。だけどあなたは女の強さを見たわけじゃないですか。先の考えでは「体を隠す」ことは「女の自由を奪って」となる。体を隠すことは悪いことではないかも知れない。エレガントかも知れない。男としてそうだ!というと、又違った反発を受けるから、でも、わかる。(笑)
{菅原} 本当に困っている女性もいるでしょうが、美しく生きようと気持ちの持ち方がきれいな事だと思って、もし自分がリスペクトして生きてゆくのであればそういう部分もいただきたい。
{伊勢崎} エレガンスさ・誇りの問題じゃないですか。誇りは時間をかけて作られるものであるからあの辺の世界はアフガニスタン、タリバンって聞いたことがあるでしょう、原理主義の考え方。彼らの考え方はすべて西洋的なものはダメ、菅原さんがやっている表現とかジャズはいけないものだと、音楽に国境が出来ちゃったのですよ。彼らのせいではない。僕らのせいですけれど。
{菅原} 結婚式に何回か行ったことがあって、これは踊っちゃダメかと思ったけど、自分の中にお祝いのダンスなんだというのが あって、踊りだったら大丈夫じゃないかと思った。音楽もそうだと思います。
{伊勢崎} 希望を感じます?
{菅原} *3 感じます。

*3伊勢崎はタリバンのジャズなどを西欧的として一切認めないイスラム原理主義に警鐘を鳴らしている。タリバンではダンスやジャズはアメリカ的なものとして認めない。「芸術に国境を作った」と言っている。それに対して、菅原はダンスで超えられると言い切る。「希望を感じる」と答える。これはどうか?歴史的に原理主義の勃興はあるし、その閉じた鎖国原理主義はなかなかやぶれないが、菅原の強固な主張は?

{菅原} ダンスをやっている友達に聞いた。将来何をしたいのか?友達はうーん、「世界平和かな」と言った。戦争はなぜあり続けると思う?誰かが「愛があるからだ」と言った。「人間が愛を持ち続ける限り、憎しみは生まれてゆく。」「戦争はきっと無くならない」「争いはなくならない」という話になった。もし、私の父母を誰かが殺したら、私はその人を憎む。ロボットだけの世界は平和なのかも知れないが、人間が愛を持ち続ける限り、誰かを思い続ける限り、憎しみは無くならないと思う。だけど誰か行動を起こす人がいて変わることは出来るというのだけは自分の中に持っておこうと思って。
{伊勢崎}そうですね、僕も愛し続けたいですね。戦争が無くならなくても愛する方を選ぶな。
{菅原} だから、愛の表現が一番いい方法だ。ダメって、ダメだと思う。

――――SWITCH INTERVEW—―――
ダンサー菅原小春

<岩の上で踊る小春とヒントを与える辻本>
10月下旬、菅原小春はプロモーションビデオの撮影で長野県富士見高原にいた。
今回初めてアドバイザーに迎えた辻本和彦が一緒だった。ダンスに迷いが生まれた時にヒントを与えてくれたダンサー。
事前に振付をつけるのでは無く、その場で感じたことを即興的に体で表現するインプロビゼーション。(即興)菅原はこのインプロビゼーションを自分のダンスに多く取り入れようとしている。

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岩の上にいます。じゃ、踊りましょうではなく、「どうやったら身を本当に委ねられるか」が課題だ。難しい。「ああ、そういうことかと、自分のテンションで踊っちゃうとすごくダサイものになっちゃう。誰かがやったもののコピーでは嫌だし、今までの断片の切りばりするだけでは意味がない。自然との対話から一体何が生まれてくるのか、菅原は深夜まで踊り続けた。

菅原} 考えることとか、知識とか、作ることを先行してやってきたから、自然に脱力して「インプロ」することが出来なかったんです。最近、この場所に対して、どう踊る。この絵に対して、自分はどうあるべきか、、とかを踊るようになってからは――それが究極の感覚だと思ったのですけれど―――自分が寒い・熱い・人が何を思っているのかを全部無しで空っぽの状態を自分を晒した時に、森が受け入れてくれて、私は呼吸しているだけ、、これが何も考えていない状態、インプロした時に生きているというのはこういうことなんだなと本当に思えたから。*4
伊勢崎} まあ―凄いよ!それ。
    ダンスも芸術は先ゆく者がいるわけで、気になる人がいますよ。マイケルジャクソンとか、僕が見てもカッコいいと思うけど、同時にそれをマネすることがよくある。質の悪いコピーになっちゃう。でもカッコいいものはカッコいい。
菅原} 「カッコいいが何か、わからなくなっちゃいますね」人がカッコいいというものは私はやりたくないですね。
伊勢崎} ひとつのファッションになっちゃう。
菅原} みんながカッコいいという風ならば私は違った生き方をする。違う生き方をして遠くへゆきたい。目標というんですか。
伊勢崎} 目標といえば長生きしなければいけないみたいな、、

*4 この小春のインプロは凄い!
「意識が邪魔して無の境地になれない。考えること、それまでの知識がみな邪魔だ。ここで、<この絵に対して、自分はどうあるべきか>と視点を変えてゆことで、(自然に対して全部空にして自己を晒すことで)菅原小春の一つの到達点を掴んだ。
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( 続く )


  1. 2018/03/23(金) 14:31:43|
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『美術/音楽/舞台/読書』「ダンス&トランペットインタビュー達人たち 1 」3/21

『美術/音楽/舞台/読書』「伊勢崎賢治&菅原小春」(インタビュー達人達 ① 3/21
                    17年12月9日/(再放送18年3月10日)

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  ① 異色のコラボ                          
Eテレ「インタビュー達人達」は異業種の達人のコラボである。思いがけない異業種の達人たちのコラボに関心を持った。伊勢崎賢治は世界の戦争難民救援サポートとして有名である。昨年院内集会で彼の講演聞いた。何しろ戦後70余年日本人は戦争をやって来なかった。自衛隊の中に戦争を知っている者はいない。が、国連の難民・戦争避難民の派遣官であった伊勢崎は戦争体験者である。内戦の中に救済を目的に入ろうが弾が飛んでくる。ピースキーパーは反撃しなければならない。その意味では日本の唯一の戦争体験者だ。(自衛隊が教わりにくる)
その彼が何故ジャズを?トランペットを吹くのか?
 又、菅原小春のダンスはナマで見たことがない。しかし、ユーチュブで見た限り面白そうだ。私はかってピナ・バウシュのコンテンポラリーダンスに熱中して彼女の来日公演は外さなかった。自分はやらないが身体芸術には興味を持っている。戦争の中のジャズとダンスー-面白そうだ。何回かに分けて書きます。ただし、自分のためのメモの領域を出ません。このブログを見て下さる数名の方を想定しています。

ダンサー菅原小春

森の中で妖艶に踊るダンサー菅原小春。今最も注目されている舞姫だそうだ。三浦大知も面白そう。
(和製マイクロジャクソンと言われている三浦大知とのコラボ)
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驚くほどキレのある動きと、どこか中性的な魅力が様々なジャンルのアーティストの虜にしている!
(K-POP界のアイドルテミンとのコラボ)
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世界にその名も知られるダンサー菅原小春。各国で開かれるワークショップには生徒たちで溢れかえる。訪れた国は35ヵ国になる。
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「“私にとってダンスは、見せることとか振り付けとかは問題ではない。自分の中に何があるのか、それが重要なの。自分は音楽をどう捉えるか、なのよ。今日、それが見られたから、とても嬉しい!だから興奮している!”」(菅原小春)
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彼女の視点がいい。見せることを第1に置いていない。「自分の中に何があるか」を大事にしている。音楽をどう捉えるか、だと。いいなあ、、、

既存のジャンルに当てはまらない斬新な振り付け、見る者を釘付けにする不思議な存在
感、世界中に熱狂的なファンが増え続けている!

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 そんな菅原にぜひ会ってみたいと申し出た者は、伊勢崎賢治。東チモールやアフガニスタンなどの世界の紛争地に赴き、当事者たちの武装解除を指揮してきた男だ。伊勢崎は「紛争解決請負人」という異名を持つ男だが、彼は“ジャズマン”というもう一つの顔を持つ。紛争地でも常にトランペットを持ち歩いた。彼にとって、音楽と紛争は切り離せないテーマだ。伊勢崎は言う。

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 「“音楽に国境は無いと言われてきた。実は、今音楽に国境づくりが始まっている。タリバンの登場によってジャズはアメリカ音楽だと否定される。これは音楽・ジャズの危機だ。彼女に会ったらぜひどう思うか聞いてみよう。」”

伊勢崎のラブコールを受けて小春は、
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 「“嬉しかったです。お名前も全然知らなかった方なので、それはいいことだというか、来てくれて自分で伊勢崎さんの話を肌で感じられるじゃないですか。それが意味あることなので、いい日になる予感がした。”」

 「伝えたいが 身体を動かす」=菅原小春のダンス& 「世界の矛盾と 向き合う 」伊勢崎賢治の生き方

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➁ 対面(伊勢崎賢治、菅原小春を彼女の実家に訪れる)菅原が実家に伊勢崎を呼んだ。なかなか出来るものではない。
 菅原の実家の居間、ひび割れた大きな鏡がある。小春が少女時代から鏡はあった。暴れてひび割れが出来ているという。
 伊勢崎} この鏡は菅原さんの成長をずっと見守っているのですか?
 小春〕  そうです!どのような印象を持ちましたか?
 伊勢崎} かっこいいですね。菅原さんはかっこいいですね。
 小春}  先生は包容力がある。温かいエナジーがある。怖くない。
 伊勢崎} ユーチュブであなたのダンスを見た時、人生で同じような感動を2回くらいしましたね。それはアフリカで女性のダンサー       が踊る。男たちが座って焚き火をたいて、(電気などないですから)セレモニーですね。女性が踊るわけですがトランス        状態になるわけですね。それがもの凄くって釘付けになって、その時の印象だった。こんなエレガントで、力強くて、気持       ちの入っているダンスは見たことがなかった、それは今回も感じた。それでこの企画をお願いしたんです。
 小春}  嬉しいです。
      *伊勢崎氏の感性なかなかなもの!

<菅原小春のダンス>
三浦大知
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鍛えぬかれた肉体を駆使し、日本人離れした動きを見せる。和製マイケルジャクソンとも称
される三浦大知との共演は筋肉の緊張と弛緩を使い分けた独特の動きを示した。

テミン
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感情をむき出しにするかのような心地よい表現、K―ポップ界の人気アイドル=テミンから
ラブコールを受け振付を担当。

<小春は高度の表現力をどのようにして身に着けたか?>
伊勢崎} 菅原さんは反復練習をされています?
菅原}  やっていました。 今はやっていません。やらない時期に来ちゃいました。がむしゃらにやっていた時期は毎日決めてやら      ないと気がすまない領域にいっていた。やり過ぎて「自分を抜ける場所がなくなった。」ずっと作ることをしてきたので、
     この音をここで切って、合わせて展開をこうやってつけて、こういうふうに踊って構成をこうするという風にやっていた。しか     もコンテストに出ていたので勝つために作っていた。だから勝ち方がわかっていた。こういう風にやったら人の心を掴めて      勝てるんだという事が分かった時に、つまらないと思ってきた。
    私が最近しびれるものは、自分が小さい頃から踊ってきた、お母さんとかが酒を飲んでフラフラ踊るものとか、子どもが遊ん    でいる動きとか、まったく無の状態のあれですよ。知識もないし、練習もしていないし、真っ新な中でただ動いているだけの、    その時間にすごく憧れる。
伊勢崎} ジャズというものは僕も楽しまなければお客さんも楽しめない。そう信じていいですか?
菅原}  いいです!自分がピュアに感じた時に『人は鏡のように映る』-映ってくれているんだなぁとか、感じてくれているんだなぁ      と踊っていて思うことですね。
伊勢崎} 自分も入っていたなぁーという演奏が時々出来るわけですね。客も乗ってくるし、でも毎回できるわけではない。次回その      余韻があるんで今回出来ていないなぁーと思うと、すごく意気消沈してしまう。それをどうやって克服しますか?
菅原} それを聞いてもらって嬉しいです。いいなぁと思うことは私よく忘れちゃうんです。過去のことは忘れちゃう。多分私良かった     時のことも忘れちゃって、その時に感じることは異常に強いんですよ。最悪な日も最強な日もあるんですが、2.3日たつと良     い物も悪い物も飛んでいってしまう。
     多分忘れるように生きてきたのか、その時の感覚には、誰も一生戻れない。そこが同じ場所であろうが来てくれるお客さん     が違えば違うし、毎日違う日なんですよ。その日の自分をどれだけ愛してあげて、受け入れてあげて、その日のー最悪な     音が鳴ったら、その最悪の境地の中で心地良い部分を聞かせるだけ、見せるだけというか、そういう風に思っちゃうだけで     す。
    「どうでもいいって大事ですよ」
    「こういう風に踊って」とかその期待に応えようとするから空回りが生まれる。その人の要求に「そうですね」と聞き入れて「美     しいどうでもいい感覚で浸れた時に、はじめて踊れたんだなぁと思います。
伊勢崎} 菅原さんはかっこいいですね。
 *① 伊勢崎の「反復練習」はアーティストやスポーツマン&ウーマンにとって毎日の日課である。伊勢崎はそこから突入した。
  ② プロの調子が出ない時はどうしたらいいか?本丸に突入。小春「(舞台の時は)異常に強い感性で没入している。一期一会    だ。一回一回が違う。彼女の舞台は高度に飛翔するのだ。
  ③ 「どうでもいい」は大事ですよ、という名言をはく。彼女はかなりのレベルだ!

➂ 菅原小春の通ってきたみち

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 ファッション関係の仕事している両親の元、1992年2人姉妹の次女として生まれた。小さい頃から家族の前で踊り、喜んで貰うのが嬉しかった。10歳でダンススクールに通い、めきめき頭角を現した。高校生の時、ダンスコンテストで何度も優勝した。卒業後さらなる上を目指してアメリカに渡る。
菅原} 高校の時、2時間半もかけて(往復5時間)ダンスが出来る学校に通っていた。ぶうぶう不満を言ったら、お父さんが「ここが帰って来る場所なんだ」と叫びながら泣いた。その時は意味が分からなくて、、、借金して苦労して好きなことをやらしてくれた。今思うと、こういうふうに守りぬいてくれて「小春がどこへ行っても帰って来る場所」を作ってくれたのだと思う。この家にいて、こんな爆音を鳴らしたり、近所迷惑な家なのにずっと小さい時から好きなことをやらしてくれてダメという答えが無かったから今、踊りたいとかこういう生き方をしたいという気持ちに辿りついた。
伊勢崎}アメリカに行く時、お父さんはどうでした?
菅原} 行け、行けと。「お前は日本じゃないから、とりあえず外に行け」と。お金を持っている家じゃないんですけれど、どうにかして自分でして、行け、と

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(動画サイトの小春のダンスの映像)
菅原小春が世界にとどろいたのは動画サイトにのっけた映像だった。その斬新なダンスは瞬く間に評判となった。各国で開かれるワークショップといわれるダンスレッスンの講師として招かれるようになる。ヨーロッパやアジアなど今では訪れた国は35ヵ国にな
る。彼女は大きなエージェントの力を借りずに、たった1人で世界中を渡り歩いてきた。頼よりにするのは自分のダンス感性のみで。 
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(続く)
  1. 2018/03/21(水) 18:35:53|
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『日記』「想うこと」3/14(水)

『日記』「想うこと」3/14(水)

A 『米朝会談』今度もトランプの大統領当選と同じように、政治家・評論家の想定外の出来事だった。特にアベ内閣は無視された。現在の日本は遠い海外の国に金をバラまいているくせに、隣の中国や韓国・北朝鮮とは疎遠である。安倍政権は圧力・制裁を吠えまくっていた。もし、米朝戦争でも起これば韓国・日本は甚大な損害が予想されたのに。
 今回の電撃ニュースの前の日本では、北朝鮮の度重なるミサイル実験に脅え、核の脅威を口実に膨大な軍事予算を組み、米から膨大な兵器を買わざるを得なかった。反共思想・民族主義を煽り、核武装の声さえあった。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「対話」を基本路線に掲げてパク前大統領を倒した民主主義をバックに登場したのだった。とにかく、戦争回避は良いことだ。『米朝会談』の成功を見守っている。

B とうとう「アベ政権」が馬脚を現した!「公文書の改ザン」である。国有地払い下げ問題で、財務省の決裁書の改ざん問題が発覚・財務省が認めた。12日(月)財務省が真相を国会で報告した。(問題に関わり合った近畿財務局の現場担当者の部下の自殺の衝撃があった)
国有地売却問題の、財務省の決裁書の改ざんが、何者かによって行われた。公文書偽造である。佐川理財局長の命令による理財局の官僚による犯罪だ、と麻生財務相は言う。<トカゲの尻尾切りではないか!>
日本の民主主義・近代国家を揺るがす問題を、官僚機構だけでやるもんか?政治が絡んでいる!『「森友問題」にもし私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める』この言葉が生きてくるのだ!
怒りをぶつけよう!真相究明をしょう!安倍内閣総辞職!

   
  1. 2018/03/14(水) 22:05:27|
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『日記』「暗澹たる冬の夜に」 3/10

『日記』「暗澹たる冬の夜に」 3/10

*2月は見るべき映画が多かった。その上、「韓国ブラック・リスト」が報道されて録画を撮ってブログに書いた。韓国版CIAの実体に驚愕したが、日本版もあるだろうことは想像がつく。しかし、報道が出て来なければ見守るしかない。
*3/9.10と「花咲くころ」をまとめていたら、ビックニュースが2つも飛び込んできた。

A.「米・朝.首脳会談の意向」北朝鮮の金正恩委員長との面談結果を説明するために訪米していた韓国代表団がトランプ大統領と日本時間9日午前9時面談、正恩氏が早期にトランプ大統領との会談を要望、大統領がこれに応じた。
 正恩氏は「非核化に取込み、核・ミサイル実験を凍結する」を表明した。歴史は動くか?

B.3/9(金)「森友学園」への国有地売却問題で批判を受けていた佐川国税庁長官(当時理財局長)が辞任!「国有地売却を巡る決裁書の書き換え問題」で朝日新聞が報道してから、国会で政府与党・財務省と野党が対決していた。財務省の当時者「佐川」が辞任ということは「書き換え問題」「任命責任」が問われることになる。国有地売却を関係した近畿財務局の直接の担当者の実務者が7日自殺していたことが9日関係者に伝わり、遺書みたいなものもあり、遺族の方が財務省に怒っているという報道。関係者に衝撃が走り、佐川の辞任という「トカゲの尻尾切り」に及んだ。10日には財務省が「書き換え」を認めることを決めた。10日の夜のテレビ報道では財務相の責任問題・内閣を揺さぶる問題になったと報道。「総理のご意向」森友・加計問題はやっと展望が見えてきたのか?!

  1. 2018/03/10(土) 23:16:09|
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『2018年映画』「花咲くころ」(ジョージア映画、監ナナ・エクフティミシュヴィリ)3/10

『2018年映画』「花咲くころ」(ジョージア映画、監ナナ・エクフティミシュヴィリ、)

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1991年ロシアから独立を果たした「ジョージア」が舞台。かつてソ連の構成国であった「グルジア」が独立して「「ジョージア」となった。(黒海の東岸、先日取り上げたアルメニアと隣接するコーカサス地方の国)
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三年ほど前取り上げた映画、「放浪の画家ピロスマニ」が19世紀末のグルジアが舞台だった。コーカサスという地域はアジアとヨーロッパの要衝路で、双方の文化の交流があった歴史的に興味深い地域であった。ギリシャ正教会系のキリスト教で中東のイスラム文化とは異なる風情の街と人情。
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ロシアから独立を果たした92年の春、ジョージアの首都トリビシが舞台。戦乱と内戦で荒廃した街、人々はパンを奪い合うような耐乏生活のなか、2人の14歳の少女がたおやかに成長する姿を描く。(政治社会が戦乱・荒廃する中で子どもたちはどうしていたか?)

エカの家には父がいない。喧嘩ばかりしている姉とやや過保護の母との生活だ。父が刑務所に入っているという。
(なぜ入っているのか分からぬが、いつもエカを虐めるコカという少年。彼の父と関係がありそうだ。映画では解明するシーンがないが、内乱に関係しているようだ。エカの父はコカの父と敵対関係にあったのか?内乱の痕跡のシーンはない。)
親友のナティアの家では喧嘩ばかりしている。酒浸りの父と母との言い争い。口煩い祖母とナティアはうんざりしていた。グルジア人の癖かと思えるような家庭内の口論シーン。いや、女性監督のメッセージかも知れない。目まぐるしく変わる喜怒哀楽、突如として荒天となる空模様。監督の手法だと理解するのに時間がかかった。
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家でも学校でも自分の居場所がないと感じていた二人は、放課後の二人だけの時間が、“居場所”だと感じていた。美人のナティアには二人の男が好意を持っていて付きまとう。学校の授業風景も生徒たちの様子もどこの国にもあるような、生徒たちは先生の言うことを聞かず、各自が勝手にしている。やや荒れた風景はどこの国も同じだ。

ある時、ナティアに好意を寄せていたコテに、車で略奪されて強引に結婚することになった。コーカサス地方に昔からある“略奪婚”だ。「愛は後からついてくる」とこの地方に昔からある因習だ。場面転換の素早さ!“掠奪から結婚・披露のパーティー”
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その因習に従順に従うナティアにエカは怒る。結婚式のパーティーで、怒りのダンスをエカは踊るのだった。このエカの男踊りは圧巻だった!全世界に向かって抗議しているかのように!

このように成長して行くのだろうか。無邪気な少女時代を通り過ぎた少女は、大人たちの世界に入って行くのか。そして、獄中の父親に会いに行くところで映画は終わっている。


  1. 2018/03/10(土) 11:25:01|
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『2018年映画』「ローズの秘密のページ」(監ジム・シェリダン,撮ミハイル・クリチマン)3/3

『2018年映画』「ローズの秘密のページ」(監ジム・シェリダン、撮ミハイル・クリチマン,演ルーニー・
マーラ、ヴァネサ・レッドグレイヴ 3/3


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ルーニー・マーラは昨年「キャロル」でケイト・ブランシェットと溜息の出るような美女を演じた。
ヴァネサ・レッドグレイヴは私にとって永遠なる理想の女優である。アメリカの女性作家リリアン・ヘルマンの自伝的小説に基づく映画「ジュリア」(1977年)で最高の知性溢れる女性ジュリアを演じた。
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第2次大戦の彼方にファシズムに殺されてゆくジュリアを親友のリリアンが回想するという筋立て。監督はフレッド・ジンネマン、リリアンをジェーン・フォンダ、リリアンの連れ合いの作家ダーシル・ハメットをジェイソン・ロバーズと名キャストで飾った。
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今回の映画「ローズの秘密のページ」では、81歳の老女が第1線の主役を演じることが凄いのだ。私は彼女の碧眼が素敵だと思う。アイルランドの精神病院に幽閉されて40年いかに生きたか。自己の無罪と正気を主張し続けた主人公の人生の一切を身体で表現していた。ヴァネッサはこの物語の主人公をギリシャ神話の「アンティゴネ」(盲目の父を導いて旅をし、国法に逆らって己の主張を貫き幽閉されて殺されてしまう悲劇の象徴)と位置づけている。

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アイルランドの西部の精神病院の閉鎖に伴い、転院のための再診に訪れた精神科医のスティーブン・グリーン(エリック・バナ)は、転院を拒む老女に注目する。彼女はローズ・クリナ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)、赤ん坊殺しの罪で精神犯罪者として40年も収容された老女であった。赤ん坊殺しの罪を否認し続け、自分の名は「ローズ・マクナリティ」だと訴える様子は他の患者とは違っていた。彼女は一冊の聖書の中に密かに日記を書き綴っていた。彼女の只ならぬ様子に興味を持ったグリーン医師(エリック・バナ)は、彼女に寄り添い対話をして心を掴んでゆく。彼女は日記を辿りながら、半世紀前の記憶を遡り、自分の人生を語りだした。

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舞台は1940年代のアイルランド。長年の英国(国教会=プロテスタント)との戦争で戦い抜き、北アイルランドを残して独立したカトリックの国アイルランド。地方は因習に囚われた保守的な雰囲気を残していた。戦禍を逃れて叔母の家に来てカフェを手伝っていたローズは、その美貌から多くの地元の若い男たちをひき付けた。カトリックのゴーント神父(テオ・ジェームズ)や地元のIRAの若者たちが行為をよせる。だが、男たちは好意を跳ねつけられると逆に憎悪感を持ってローズを疎外するのだった。人目を気にする叔母はローズを山の隠れ家に追いやるのだった。そこで英空軍のパイロットに志願した地元の裏切り者マイケル(ジャック・レイナ―)に出合い恋に陥る。
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マイケルと濃密な時間を過ごす。バイクで駆け抜けた海岸、戯れた砂浜、二人の人生で最も受実したひと時だった。

しかし、マイケルは地元IRAからは裏切り者として追求を受け捕まってしまう。マイケルの子を生んだローズは自力で出産、婚外子を生んだ母親は施設に収容されるのだった。その時嬰児の臍の尾を切るのを嬰児殺害と誤認され、子殺しの精神病犯罪者とされ精神病院に収監される。町の有力者であるゴーント神父はかねてよりローズに思いを抱いていて裏切られた嫉妬から彼女を精神病犯罪者として病院の奥深くに幽閉する。いわば、男の「嫉妬」が第2のテーマである。
グリーン医師は彼女が持っていた聖書の40年に亘って書き綴った日記に真実を証明する証があり、ゴーント神父の偏見に満ちた報告書も見つかった。殺されたはずの子が現れるというミラクルで映画は締めくくられる。ラスト近くにヴァネッサがピア弾くピアノ曲「月光」がよかった。
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監督
ジム・シェリダン(アイルランド・ダブリン出身。「イン・アメリカ/3つの小さな願い事」



  1. 2018/03/01(木) 18:21:57|
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